高嶋友奈「結城ちゃんは勇者である」
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83:名無しNIPPER[saga]
2018/01/05(金) 22:30:10.49 ID:BSpRr3gRo

友奈「勇者部の五箇条はほんとに凄いよね? 私たちの人生に必要なものが全部そろっていると言っても過言じゃな……っ!」ズキン

千景「結城さん!?」

千景(私自身の答えが出た頃、結城さんが唐突に頭を押さえていた)

友奈「あ、ううん、だ、大丈夫だから」ズキズキ

千景「も、もしかして、頭が痛むの……?」

千景(思い浮かぶのは母の姿。どちらの郡千景の記憶かは最早分からないが、それは自分自身認めたくない、いわゆるトラウマと呼ばれるものを刺激した。だから、心が酷くざわつき始める)

友奈「……うん。でも、本当に大丈夫だから。多分偏頭痛ってやつなのかな?」

千景「今すぐ! 今すぐ病院に行きましょう!!」

友奈「えぇ!? お、大袈裟だよ……?」

千景「いえ、頭の不調は大病の合図よ。事態は一刻も争うわ!」

千景(母は空を見上げるだけで狂乱するようになった。もし、結城さんもそうなったら──!?)ゾクリ

友奈「え、ええとね、ぐんちゃん……?」

千景「救急車、そう、救急車を呼ばなくちゃいけないのよ!」プルル…

友奈「わー! 落ち着こ! ねっ、ぐんちゃん! あー! 電話するのはほんとにやめてー!」アタフタ

友奈「うぅ、ごめんね。一旦これだけ預かるから」ヒョイ

千景「あ……!」

千景(……結城さんにスマホを取られてしまった。……そして、私は幾分落ち着きを取り戻していた。──自分が狂乱してしまってどうするのよ、郡千景……)

友奈「あ、ぐんちゃん、落ち込まないで! 私のことを考えてくれたんだよね?」

千景「……」コクン

友奈「その気持ちは嬉しかったよ。でも、本当にただの頭痛だからね」

千景(そう言われても私の不安はどうにも消えてくれない。見かねたのか結城さんは、先ほどの言葉を補足するのように静かな声で)

友奈「……実を言うと私ね、少しでも寝不足になると昔から頭痛になりやすいんだ」

千景「……寝不足?」

千景(その理由はありふれたもの。だからこそ、そんな単純な理由を結城さんに当てはめると言う発想を、今の今まで持つことが出来なかった)

友奈「うん。……実は、昨日東郷さんから満開の真相を教えてもらってから、ええとね……その、ほとんど眠ることができなかったようで……」

千景(結城さんの様子で、寝不足が頭痛の理由であるとようやく得心に至る。……重い荷物を下ろしたかのような疲労感だけが私の中に残り、それは安心と言う感情を私の中に生んだ)

千景「そう、だったのね……」

千景(考えてみれば当然のことで結城さんも十三歳の少女なのだ、あれだけ酷な話を聞いて安眠できるほうが異常と言える。ほぼ部外者である私でさえ昨日の寝つきは良くなかったのだから)

友奈「でも、何でかな、隣にぐんちゃんが居てくれると……ちょっと眠くなってきたかも」コトン

千景(結城さんが私の右肩に頭を預けてくる)

千景「……ふふっ、東郷さんに怒られるわね、私」

友奈「……東郷さんは優しいから大丈夫だよ。……でも、本当に……ぐんちゃんの隣って……落ち着く、なぁ……」

千景(ほとんど時間もおかずに寝息がすぐ傍で聞こえ出す。──思いがけず訪れた幸福に、私はそのまま身をゆだね、束の間の穏やかな時間を過ごしていった)



友奈「……」ズキズキ…






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