高嶋友奈「結城ちゃんは勇者である」
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78:名無しNIPPER[saga]
2018/01/05(金) 21:44:52.68 ID:BSpRr3gRo

銀「……すみません、千景さんのものだとは知らずにアタシが先に読んでしまって。──この本で間違いないですよね?」

千景(それは三ノ輪さんが持っていたポシェットから取り出され、私は久方ぶりに儚げに微笑む鷲尾須美の姿を目にしていた)

園子「ミノさんに渡る時に、この本はある程度厳重に梱包していてね、それを解いたら近しい人に良くないことが起こるって、ちょっと怖い注意書きをしていたんだ。わっしーに教えてもらった不幸の手紙の真似事だね」

銀「ただでさえ不幸体質のアタシだから、本当に起きるんじゃないかってほんと怖くて怖くて、昨日までタンスの奥深くに眠らせていたんですよ。……と言うかさ、アタシのことをよく知っているなら脅かすようなことはやめてくれよ、園子!」

園子「でも、そうする必要があったことは今のミノさんなら理解しているんだよね?」

銀「嫌ってほどにな。……千景さんの本がなければ、自分で言うのも抵抗があるけど──アタシは死んでいたんだよな?」

園子「……」

園子「小説の中のミノさんはとってもカッコよかったし、心の底から尊いと思っていたよ。でも……あんな歴史、私は絶対に認めたくなかった」

千景「だから、本来起こるはずだった未来を変えた、と?」

園子「偶然の要素は大きかったと思うんだよ。実際、私は神書に仄めかされていた状態とほとんど変わらない身体の状態になってしまっているからね。……だけど、ミノさんがこうして生きていて、千景ちゃんもここに居る。それは本来の道筋とは違う、神書から外れた可能性の今。──私はあの頃に、未来は変えられると……知ったんだ」

千景(悲惨としか言いようない現状の乃木園子だったけれど、今この時、そう宣言した瞬間だけは、希望に満ちた瞳が確かに存在しているように見えた)






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