77:名無しNIPPER[saga]
2018/01/05(金) 21:33:23.21 ID:BSpRr3gRo
千景「甚だ疑問は残るところだけれど、いい加減本題から逸れすぎたわね。これが乃木園子の策謀なのはよく分かったわ。──それで、三ノ輪さんは私たちの会話をどこから聞いていて、どこまで理解したのかしら?」
銀「うっ……えーと、それは……」
園子「千景ちゃんが別の世界の人で、私も千景ちゃんも未来のことをある程度知っているってことは本当なんだよ、ミノさん」
銀「半信半疑だった部分をいきなり断言されたよ!?」
千景「ほぼ最初から立ち聞きしていたわけね」
銀「今のだけで何故か伝わっているし!? ……でも、やっぱり本当のことだったんですね。扉の前で聞いていた限り、冗談で言い合っていたようには到底思えませんでしたから」
千景(三ノ輪さんの言葉、今の殊勝な様子から見ても、ほとんどの部分を彼女は理解出来ていたと見て間違いないだろう。……普段ゲームや漫画を嗜んでいることだけあって突飛なことへの適応力がそれなりに高いわけね)
千景「乃木園子、今の三ノ輪さんの言葉を私が肯定か否定かするには大切な情報が一つ欠けているわ。上里家への接触のために何故三ノ輪さんが必要となってくるのかしら? 返答によっては三ノ輪さんを用意した謀を水に流してあげても良いわ」
園子「身から出た錆だけど、千景ちゃんは手厳しいなあ……。ねぇ、ミノさん。今のミノさんは戸惑っているけど混乱はしていないよね? もしかして"読んだ"のかな?」
銀「……ああ。忠告を聞かずにごめんな。けど、今のアタシに絶対必要なものだとも思ったんだ。そして、それは間違いじゃなかった」
千景(一転して真剣な表情になる三ノ輪さん。そして、乃木園子の言った"読んだ"と言う単語。そこから示されるのは──)
千景「……理解したわ。『鷲尾須美は勇者である』の小説を持っていたのは三ノ輪さん、あなただったのね?」
園子「うん。私がこんな身体になることは最初から分かっていたからね、信頼できる人にあらかじめ頼んでおいて、後でミノさんの手に渡るよう手配していたんだよ」
千景「……てっきり大赦の手に渡っているものとばかり思っていたわ」
園子「大赦に知られるとマズイことも多く書かれているからね。第一、大赦がすでに知っていたら今のこの場面は生まれていなかったはずだよ?」
千景「……」
園子「そっか……。千景ちゃんの所有物だけど、まだ読んでいない本だったんだね」
千景「……沈黙だろうが発声だろうがあなたの観察眼には一切関係なしね。……ええ、届いたばかりで、まさに読もうとしていた時に、私はこうして巻き込まれたのよ」
113Res/169.55 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20