高嶋友奈「結城ちゃんは勇者である」
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69:名無しNIPPER[saga]
2017/12/31(日) 19:01:21.74 ID:Z+ozzRtCo

園子「私が神書を拾ったのは二年前の……本来だったらミノさんが亡くなってしまうはずの日。戦闘が終わって、樹海化から戻ったら私の隣に落ちていたんだよ」

千景(乃木園子は書籍の出所について語っていく)

園子「正直、ね。戸惑ったよ。私とわっしー、ミノさんが登場人物の小説だったんだから。誰かがいたずらで作ったのかなとも思ったくらい。だけど、そこに書かれていた内容は私たちでないと知り得ないもので、ううん、私たち以上に知っている人が書いた内容であることはすぐに分かったよ」

園子「それでも最初は単なる偶然だと思い込もうとした。でも、バーテックスの次の襲来時期も一致していて、私たちの誰も死ぬことなく敵を追い払うことまで出来てしまった。だから私は、その時にはもう受け入れるしかなかったんだよ」

千景(……つまり、私と手甲が飛ばされた今より二年前に『鷲尾須美は勇者である』の小説もこの世界に飛ばされていたと言うことになる)

千景(……動悸が嫌なくらいに大きくなってくる。その質問をするには多大な躊躇があった。けれど、聞かずにいることは当然出来なくて──)

千景「た、たかしまさん……高嶋さん……高嶋友奈と言う人は、一緒に居なかったの……?」

千景(この世界に飛ばされてきた時からずっと自分の中で否定してきた可能性だった。……元の世界に残されているほうが不自然だと、私はきっと知っていたのだから)

園子「……」

園子「ごめんね。落ちていたのは神書だけなんだ。……でも、高嶋友奈さんという名前に聞き覚えはあるよ」

千景「どこッ! 高嶋さんはどこに居るの!?」

千景(否定され、すぐに可能性を提示される。冷静でいられるはずがない)

園子「……西暦の時代の終わり、神世紀が始まる以前。この四国には"四人"の初代勇者が居たとされるんだよ。その中の一人が高嶋友奈さん」

千景(落胆と共に、ホッとしたのも事実だった)

千景「……つまり同性同名の別人と言うことね」

園子「……」

園子「これは私の勝手な想像になるからそれを踏まえた上で聞いてね。神書が発行されたのが2014年12月、バーテックスが襲来したとされる『7・30天災』が2015年7月末、その間は半年程度しか時間が空いていないんだよ」

千景「待って……。バーテックスの襲来は2015年なの……?」

千景(図書館等で調べても出て来なかった情報である。大赦が守秘していた情報かもしれない)

園子「うん。千景ちゃんが居た時代のすぐ後が2015年なんだよね?」

千景「……ええ……。──っ! そ、それじゃあもしかして!?」

千景(今更ながらに、私の居た時代とこの世界の歴史があまりにも直線上にあることを知る。それはすなわち──)

園子「ううん、その想像は多分違うと思うよ。私の結論としてはね、二つの世界はどこかで分岐したんじゃないかな、ってことなんだよ。そうでなければ神書が現存していないのは流石におかしいから。大赦が検閲して情報を制限している可能性もあるけど、私の知り得る大赦の現状に対してそれはあまりにも不都合が多すぎるよ」

千景「……要するに、あなたは私が居た元の世界とこの世界をパラレルワールドと解釈したと言うこと?」

園子「それが一番適当な言葉かな。神書が書かれていない世界と書かれた世界。バーテックスが襲来した世界と襲来するかは未知の世界。フィクションだと思われている世界とフィクションを作った者が居る世界。この二つの世界は似ているけど、やっぱり違う世界だと私は思うんだ」

千景(推測だと口にするが、彼女の言葉には確かな自信がにじんでいた)

千景「根拠は?」

千景(そして、乃木園子はあっさりと答える)

園子「あなたの使った手甲」

千景「……あれが何なのか分かるの?」

園子「あれはね、精霊の集合体のようなものなんだよ。そして、それを作ったのは……」






園子「私のご先祖様である──乃木、若葉様」






千景(私の中で全ての点が、一本の線で結ばれた瞬間だった)






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