【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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633:名無しNIPPER[saga]
2018/06/24(日) 10:09:17.05 ID:sW82/1G70

「情熱の炎を燃やす。正確に。燃やす物を見極めて! 行って、ドラゴネイト!」

 ドラゴの拳から炎が放たれる。その炎は、まっすぐ指し棒に向かう。すわグリフも巻き込むかと思われたその炎はしかし、グリフにキズ一つつけることはない。情熱の国に伝わる伝説の中の伝説、最秘奥とされる“ドラゴネイト”は、その正確無比な特性によって、光強い存在を傷つけることはない。そしてその炎は、ダッシューの持つのこぎりやはさみすら一瞬で燃やし尽くすほどの出力だ。ウバイトーレの指し棒など、ひとたまりもない――、

「……えっ!?」

「うそ……!」

 ――はずだった。

『ウバッ……ウバイトォォオオレェェエエエエエエ!!』

 指し棒は燃え上がった。しかし、その外側だけが剥がれ落ちる。指し棒だと思っていたものに隠されたソレが、プリキュアたちの目の前に現れる。それは、細長い剣だ。

「剣……?」

「あれはフルーレだよ」

 グリフの不思議そうな声に、ドラゴが応える。

「あのウバイトーレ、指し棒の中にあんなものを隠してるなんてね」

「あ、そういえば、皆井先生ってたしか、フェンシング部の顧問だよね……」

 納得する。昨日のウバイトーレはサッカーボールのようなものを持っていた。ひかるはサッカーが好きだ。つまり、ウバイトーレは元の人間の特性や好みを反映する姿になるようだ。

「……ちょうどいいわ」

 ゆらりと、立ち上がる影があった。それは、空色の優しさのプリキュア、キュアユニコだ。

「ユニコ、大丈夫?」

「大丈夫よ。相手も剣を持っているのね。そして、皆井先生のフェンシングの技術を持っているっていうわけね」

「えっ……?」

 大丈夫、などと聞くだけ野暮だったかもしれない。ユニコの目は闘志に燃えていた。それこそ、少年漫画の主人公のように、メラメラと。

「郷田先生との毎朝の特訓の成果を見せるときだわ。ゴーダーツとデザイアの代わりの、仮想敵にちょうどいいわ。ふたりとも、悪いけど手出しは無用よ。私は自分の剣技がどこまで通用するか確認したいの」

 ユニコはカルテナを構える。それは、郷田先生に毎朝一時間ほど習っている、剣道の型だ。目を閉じ、呼吸をするユニコは、大真面目にウバイトーレと決闘をするつもりのようだ。

「……あー」

「ああなっちゃったら、ユニコは止まらないよね」

「本当に、少年漫画みたいなんだもん……」

 グリフとドラゴが目を見合わせ、苦笑する。驚異的な力を持つウバイトーレを相手に苦戦しているはずなのに、どうにかなると思えてくるから不思議だ。

「……アアアアアアアアアアアアアア!!」

 カッ、と目を見開いたユニコが吼えた。そして、まっすぐに跳ぶ。巨大な相手を物ともせず、“守り抜く優しさの光”で足場を作り、まるで階段を駆け上るように、一気にウバイトーレの顔に肉薄する。

『ウバッ……!?』



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