【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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624:名無しNIPPER[saga]
2018/06/24(日) 10:04:47.48 ID:sW82/1G70

「今までどんなときでも笑顔だった浩二先生が、あんなお暗い顔をされるなんて……」

「きっと何かあったのよ」

「でも、会長がお聞きになっても何も答えてくれなかったわ」

「どうしたらいいかしら」

 いつの間にやら、教室中の生徒がはじめの席を中心に集まりつつある。少し様子がおかしかっただけで、担任の先生の心配をしているのだ。彼女には信じられないことだが、どの生徒も本気で皆井先生のことを心配しているようだ。

 はじめの席を囲むわけだから、自然、その隣の彼女の席も巻き込まれることになる。クラスメイトたちに囲まれ、出るに出られない状態だ。

「会長。どうしたらいいかしら」

「……うーむ。先生は社会人で、大人でいらっしゃる。私たち中学生には及びもつかないような悩みがあるのかもしれない。だから、心配もするし不安だろうが、皆にできることは少ないとは思う」

 不安そうなクラスメイトたちに、はじめは諭すように言う。その口調は、普段彼女と喋るときとは打って変わり、頼れる生徒会長然としている。

「私たちにできることは、できるだけ先生の負担にならないよう、普段通りの学校生活を送ることだと思う。そうすればきっと皆井先生もすぐに、元の皆井先生に戻ってくださるよ」

 ぱぁぁ、と光明を得たかのように、クラスメイトたちの顔が明るくなる。はじめの言葉は、それだけクラスに影響力をもたらすのだ。

「……でも、私、浩二先生のために何かしてあげたいです」

 生徒のひとりが言う。ショートカットにリボンが可愛らしい彼女は、今にも泣き出しそうな顔だ。

「ふふ。リエさんは浩二先生のことが大好きですものね」

「やっ、やめてください。恥ずかしいです……」

 あの空回りしてばかりの担任のどこがいいのか、彼女には分からない。。リエさんと呼ばれた生徒は、顔を真っ赤にしてうつむている。

「そうだなぁ……」

 はじめがうんうんと唸る。

「学校に迷惑がかからなくて、なおかつ先生にも迷惑がかからないものなら……」

 はじめが何かを思いついたように手を叩いた。

「寄せ書きをする、というのはどうだろうか」

「寄せ書き?」

 リエさんが聞き返す。はじめは頷いて続けた。

「色紙一枚なら100円もしない。皆で5円玉一枚ずつくらいお金を出せば買えるだろう。そこに、皆の想いを素直に書くんだ。もちろん、お金が絡むことだから、賛同してくれるひとだけになるが……」

 返事は聞くまでもないようだった。クラスメイトたちは一様に名案だとはじめを褒めそやしだしたのだ。

「名案ですわ、会長」

「さすがダイアナ学園中等部の生徒会長ね!」

「はじめさんってやっぱりすごいわ」

 口々に褒める言葉に、はじめが笑みで応えながら言う。

「よし、では、私は今日の帰りに色紙を買うよ。この趣旨に賛同してくれる人は、明日の朝、早くに学校に来てくれ。みんな、書く内容を考えておいてほしい」

 クラスメイトたちは元気よく返事をして、その臨時集会はお開きとなった。



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