【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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625:名無しNIPPER[saga]
2018/06/24(日) 10:05:22.28 ID:sW82/1G70

「……ふん。なんか、ばかみたいね」

 誰にも聞こえない声で、彼女は言った。もしもその声を誰かが聞いていたら、きっとこう思っただろう。

 素直になればいいのに、と。

 それくらい、彼女は自身では気づかなかったけれど、とても温かい声色だったのだ。

「リエさん、元気を出して。明日、浩二先生を励まして差し上げましょう」

「……はい!」

 リエさんは頬を赤くして、笑顔で頷いた。

「……いやあ、私たちの担任は愛されているねえ」

「ふんだ。あたしのしったことじゃないけどね」

 はじめのヒソヒソ声にそう返す。

「じゃあ、鈴蘭、行こうか」

「? 行くって、どこによ」

「当然、商店街に色紙を買いに、さ。付き合ってくれるだろう?」

「は、はぁ? なんであたしがそんな……」

「あら、後藤さんも行ってくださるの? ありがとうございます」

 ふたりの会話が聞こえたのだろう。お上品そうなクラスメイトがそう言った。

「おふたりには手間をかけますが、よろしくお願いします」

「……しっ、仕方ないわね」

 そのときだった。



 ――ぞわ、と。

 

 背筋が泡立つような感覚を憶えた。

「……ッ!?」

「……? どうかされました、後藤さん?」

「あ……な、なんでもないわ」

 それはとてつもない闇の発露だ。その闇の波動が、彼女の背筋を凍らせたのだ。

 こんなとてつもない闇を持っている者など、彼女の知る限りひとりしかいない。

(どうして学園内で、あの方が現れるの……!?)

 彼女はカバンを持つと、はじめに言った。

「……ごめん。今日は、約束があるの。だから、買い物、付き合えないわ」

「えっ……? あ、そうだったのか。そうとは知らず、勝手に盛り上がってしまった。すまない」

「……いいわよ」

 彼女はそれきり、誰も振り返らず、教室を後にした。



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