【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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601:名無しNIPPER[saga]
2018/05/27(日) 10:13:11.82 ID:IIOvQ4Oi0

…………………………

 ゆうきたちは全速力でほまれ町の住宅街を走り抜けた。

「とても強い闇の波動レプ……! この前の、大量のウバイトーレが現れたとき以上の闇レプ!」

 ゆうきの肩の上でラブリが言う。

「うん。わたしたちも、少しだけわかるよ」

 ゆうきは走りながら、胸に手を当てた。

「なんだろう。とてつもなく嫌なものが生まれた。とんでもないものが生まれた。それが、なんとなくわかるんだ」

 めぐみも、あきらも、小さく頷く。プリキュアたちは皆、そのゆうきが感じたものと同じようなものを感じたのだろう。

 その気配が生まれたのは、学校帰りのときだった。はじめたちと別れ、三人と妖精たちで少しだけプリキュアの作戦会議をしているときに、ブレイたちが凄まじい勢いで闇が生まれたと騒ぎはじめたのだ。そしてブレイたちの言うとおり、その方向に向かうにつれて、ゆうきたちにもしっかりとわかるようになってきた。

 そして気づけば、ゆうきたちは闇の領域に足を踏み入れていた。

「……空が暗い。アンリミテッドだわ」

 モノクロに沈んだ世界。建物や街見覚えこそあるものの、そこはまぎれもなくアンリミテッドの闇の領域に他ならない。そして、ゆうきたちがよく見知った場所が、その闇の中心のようだった。

「うそでしょ……! あれ、ひなカフェだよ!?」

「……グリ!?」

 ブレイがうめき声を上げる。その理由は、ひなカフェの入り口に立っていた人物にある。

「で、デザイア!?」

 全員が一斉に身構える。のんきに構えていられる相手ではないと知っているからだ。

「ん……? あ、あれ、騎馬さんよね?」

 めぐみが声を上げる。指で示す方向には、窓越しにはじめの姿見える。しかし、どうも様子がおかしい。テーブルに突っ伏す姿は、まるで体調を崩しているようだ。

「ふっ……。驚くべきはそちらではないのではないか? 王野ゆうき」

「へ……?」

 デザイアの言葉に、デザイアが示すソレを見つけた。その瞬間、いつかと同じように、ゆうきの中の何かが弾けそうになる。



「ひ、ひかる……!?」



 モノクロに墜ちた世界で、なおモノクロに沈むような姿だった。だからこそそれにすぐに気づくことができなかったのだ。

 ひかるは、ひなカフェの入り口近くで、幾重にも及ぶ鉄格子のようなものに囲まれ、縮こまるように座り込んでいた。

 はじめは色を持ったままそこに存在しているが、ひかるは違う。ひかるは、まるで世界と同じように、アンリミテッドのモノクロに染まっているのだ。

「ひかる! ひかる!! ひかるってば!! 返事をして! ひかる!!」

 うつろな目は何も映していないようで、ゆうきの悲鳴にも近い声にも何の反応も示すことはなかった。



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