【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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600:名無しNIPPER[saga]
2018/05/27(日) 10:12:43.57 ID:IIOvQ4Oi0

「それだけ、このホーピッシュが我らアンリミテッドに近づいてきたということか。特に、貴様らふたりは光と闇の影響を色濃く受けた影響で、闇にも光にもなじみやすくなっているのだな」

 その黒衣の紳士が何を言っているのかはわからなかった。ただ、その紳士がただ者ではないことだけは明確にわかる。ひかるは荒く息をするはじめを庇うように立った。

「ほう。男気あふれることだ。さすがは王野ゆうきの弟といったところか」

「なっ……! お、お姉ちゃんを知っているのか!」

「ふっ……」

 紳士は一笑に付すと、仮面の顔をひかるに向けた。表情は分からない。目線も見えない。しかし、その視線がひかるの全てを見透かしているのは、疑いようもないことだった。つかつかと歩み寄り、ひかるのすぐ前までやってくる。

「なるほど。貴様は、普段は良い子の自分を演じ続けているのか。姉やクラスメイトの前では、良い子の仮面を被り続けているのだな。殊勝なことだ」

「ッ……!?」

 心まで見透かされている。ひかるがたじろぐと、紳士はまっすぐひかるに腕を伸ばした。

「良い子でありたいという欲望か。まったく理解できないことではあるが、欲望は欲望だ。それも、極上だ」

 ひかるの目の前で、紳士が仮面の奥の顔を嗜虐的に歪めたのがわかった。ひかるは内心の焦燥と恐怖を悟られまいと、仮面を睨み付け続けるだけで精一杯だった。

「貴様ならば生み出せるかもしれんな。ウバイトールを超える、新たな闇の使徒を」

「……なっ」

 紳士がひかるの手をつかむ。華奢な割には凄まじい力で、ひかるの腕が押さえつけられる。

「何をするんだ……!」

「貴様の良い子でありたいという欲望に用がある。安心しろ。悪いようにはしない」

 そして、紳士の手から黒い波動が生まれる。その黒いもやのような波動は、瞬く間にひかるを覆い尽くす。



「その欲望、自分自身で購うのだな」



「がっ……」

 ドクン、と。

 ひかるの中で、何かが胎動した。

 頭の中に、何かが生まれた。

 “悪い奴だと思われたくない。”

 “良い子だと言われたい。”

 “姉に褒められたい。”

 “クラスメイトから頼りにされたい。”

 それは、欲望の胎動。

 そして、生まれる。世界を闇に染める使途。





『ウバイトォォオオレェェエエエエエエ!!』





「ふっ……生まれたか。このホーピッシュもだいぶ闇に染まってきたのだな」

 紳士は仮面の奥で微笑んだ。

「さぁ、いけ。“ウバイトーレ”。ウバイトールより強靱なその力で、プリキュアどもを迎え撃て」



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