【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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597:名無しNIPPER[saga]
2018/05/27(日) 10:11:20.14 ID:IIOvQ4Oi0

「む? なぜだい?」

「お家に電話をするんですよ。ご家族に迎えに来てもらいましょう」

 はじめはそのひかるの申し出に首を振った。

「いや、こんなことでお母様の手を煩わせるわけには……。私は――」

「――騎馬さんは騎馬家の跡取りでダイアナ学園の生徒会長である前に、ひとりの女の子です。いいから早く電話番号を教えてください」

「む……」

 ひかるの意志は固いようだった。結局、はじめは生徒手帳を取り出し、ひかるに渡すことになった。

「ちょっと電話してきますから、待っててくださいね」

「いや、よく考えたら、私が電話をすれば済む話……」

 言うより早く、ひかるは席を立って行ってしまった。店員さんに何事か告げて、店の奥へ入っていく。ひかるの姿が見えなくなって、はじめは自分の中でも何か糸が切れるような感覚を憶えた。だらしないことだとは思うが、そのまま、オシャレなテーブルに半ば突っ伏すように頭を置く。

「……しまったな。一気にこんなに来るとは」

 先ほどひかるに伝えた通り、朝から体調は悪かった。

 ただ、それを母に伝えるということは念頭に浮かびもしなかった。

 騎馬家の跡取りとして、ダイアナ学園中等部の生徒会長として、きっとしてはいけないことだと思ったからだ。

 昨日の母の言葉が頭に浮かんだというのもある。

 ひかるの真剣な顔に押し負けて、電話番号を渡してしまった。電話を受けた母は、どんな顔をするだろうか。

 どんな言葉を、自分にかけるだろうか。

 呆れかえるだろう。

 厳しい叱責すらあるかもしれない。

「……騎馬家の名折れだ、私は」



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