【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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590:名無しNIPPER[saga]
2018/05/27(日) 10:08:11.51 ID:IIOvQ4Oi0

…………………………

 騎馬はじめだ、と。お姉さんは名乗った。

「残念だったね。君のお姉さんの王野ゆうきさんは、私の大切な生徒会の一員だ」

「あー……。ってことは、姉がよく話してくれる、何もかも完ぺきですごい生徒会長って、あなたのことだったんですね」

 道中、ひかるははじめがこちらの居場所を把握していた理由を知った。本当ならばそんなこと聞きたくもないし、すぐ別れたいところだったが、見つけたのだから礼をさせろとうるさいはじめに強引に誘われて一緒に歩いている。

「いや、しかし、もう少し喜んでくれてもいいだろう?」

 はじめは皮肉たっぷりの口調で言った。

「こうして、“捨て犬”がお礼をしにわざわざ来てあげているんだから」

「ものの例えですよ。怒らないでください」

 あの天然ぼけの姉は一体どこまでこの根に持ちそうなお姉さんに話したのだろう。

「なるほど。私は捨て犬に例えられるということか」

「雨に打たれて震える姿は、まぁ犬みたいに可愛かったですよ」 ひかるが鼻を鳴らす。「今は怖い猛犬って感じですけど」

「口が減らない少年だな」

「そっちこそ、ですよ」

 ひかるはため息をついた。

「というか、お礼って、どこまで行くんですか」

「君みたいな小学生の男の子が喜びそうなものなど知らないからね。まぁ、無難なところだよ」

「もったいぶるなぁ……」

 しばらく住宅街を歩くと、それは現れた。

 おしゃれなオープンテラスや、シックな外装が、けれど住宅街の中で不思議と悪目立ちせず自然ととけ込んでいる。

『ひなカフェ』というシンプルな看板も、自己主張を抑えている。

「喫茶店……?」

「できたばかりらしい。うちの生徒もよく行っているらしいが、私は初めてだ」

 見れば、オープンテラスや店内には、様々な制服を身につけた中学生や高校生がいる。学校帰りの女子学生から見れば、ちょうどいい立ち寄り場所なのだろう。

「ここに入るんですか?」

「好きな飲み物や食べ物を頼むといい」

「傘を貸しただけでそこまでしてもらう理由がないです」

「名前だけで自分を探し当てられたらお礼を受けてやる、といったのはどの口だったかな」

「……わかりました。ごちそうになります」

 聞く耳はもたないのだろう。とはいえ、晩ご飯のこともある。飲み物だけをいただくことにしよう。



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