【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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587:名無しNIPPER[saga]
2018/05/27(日) 10:06:47.20 ID:IIOvQ4Oi0

…………………………

 なんとなく、似ているとは思っていたのだ。

 ボーッとゆうきの顔を眺めていると、ふと昨日の男の子に重なる部分が多いことに気づいたのだ。

 柔和そうな目鼻立ちとか、少しくせっ毛っぽい髪質とか。

「王野さん」

 生徒会の活動が終わった後のことだ。各自身支度を整え、学校を出るため下駄箱に向かっているとき、はじめはゆうきに声をかけた。

「なぁに、騎馬さん?」

 この王野ゆうきという少女は、不思議だ。

 取り立てて、何か特異なものを持っているわけではないのに、なぜか惹きつけられる。

 心が、温かくなって、落ち着く。

 ついつい、甘えたくなってしまうような、甘美な雰囲気を持つ女の子なのだ。

「すまない。ひとつだけ聞きたい。君には弟さんがいらっしゃるんだね」

「へ? 弟? うん、いるけど……」

 ゆうきが不思議そうな顔をして。

「どうかしたの?」

「名前はひかるくんで、昨日はスーパーへ買い物へ行ってなぜか傘をなくして帰ってきた?」

「そうだけど……」

 なるほど。昨日の男の子は本当にゆうきの弟さんのようだ。たしかに見た目からにじみ出る柔和そうな感じは似ている。しかし、性格はまるで真逆だろう。

「いや、実は、昨日“捨て犬に傘をあげている”ひかるくんに会ってね。ぜひ会ってお礼を言いたいんだ」

 はじめはあくまで泰然とした笑顔で。

「今日はもうお家に帰っているだろうか」

「うーん……今日は友達とサッカーをするって言ってたかな。まだ外が明るいから、学校にいると思うけど……」

「学校はほまれ小学校?」

「そうだけど……」

 はじめは気づいていない。

 グイグイと質問するはじめが、どんどんゆうきに顔を近づけていることに。

 そのゆうきが顔を真っ赤にしながらのけぞり気味になっていることに。

 そして、周囲にいるめぐみ、あきら、みこと、そして一年生二人組が、呆気に取られてその光景を眺めていることに。

「ありがとう、王野さん。それじゃあ、みんな。また明日」

 はじめはそう言い残し、さっと手を上げて昇降口へと向かった。

「ふぁあ……」

「ち、ちょっと大丈夫? ゆうき?」

 はじめは知らない。

 はじめの端正な顔立ちを間近に見て、ゆうきがフラフラと目を回してしまったことを。

「きゃー!」

「ゆうき先輩、うらやましいですー!」

 そして、書記会計一年生コンビが、黄色い悲鳴を上げたことを。



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