【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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584:名無しNIPPER[saga]
2018/05/27(日) 10:05:15.25 ID:IIOvQ4Oi0

…………………………

「あー、しまったなぁ」

 はじめにひかると名乗った少年は、走りながら呟いた。

「あの制服、お姉ちゃんと一緒だ。ってことは、お姉ちゃん経由でバレるかもなぁ……」

 まぁ、どうでもいいことか。

 雨に濡れて、ガタガタと震えて、それを隠そうと必死な表情をしていて。

 そんな様になってまで、面目だとか、家だとか、そんなことを気にしていたあのお姉さんが。

「……見つけられるものなら、見つけてみろ、ってね」

 彼はとある家の前で足を止め、手早く門扉を開けた。急いで家の玄関を開け、中に入る。

「ただいまー」

「おかえり……って、ひかる!? あんたどうしてそんなびしょ濡れなの!?」

 途端、自分の姿を認めた姉が大声を上げる。

「ごめん、お姉ちゃん。傘を置いてきちゃって」

「置いてきたって……スーパーに置いてくるわけないでしょ」

「うーん……」

 彼はあの名前も知らないお姉さんの姿を思い浮かべ、言った。

「雨の中捨て犬がいて可哀想だったから、あげちゃった」

「や、やたらドラマチックなことをしてきたのね……。まぁいいけど」

 姉はいそいそとバスタオルを持ってくると、彼の頭と身体を拭き始めた。

「じ、自分でできるから大丈夫だよ」

「いいからじっとしてなさい。身体拭いたら、温かいシャワーを浴びるのよ」

「……はーい」

 ――その家の表札は、“王野”。

 姉にバスタオルで身体中を拭かれているその少年の名前はひかる。

 王野ひかるという。



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