【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/05/27(日) 10:04:49.30 ID:IIOvQ4Oi0
「この私に、年下であろう君から傘を取り上げ、雨の中君に濡れて帰ることを強要させろと言っているのか」
「……いや、そんな端的な言い方をする必要はないと思いますけど」
男の子ははじめの物言いに、また戸惑っているようだった。
「さっき言いましたけど、女性が身体を冷やすのはよくないことだと思います」
「大丈夫だ。私は強いからね……くしっ……」
「まったく説得力ないですけどね……」
男の子はそう言うと、はじめのすぐ横に傘を立てて置き、手を放した。当然、傘は倒れる。慌ててその傘を受け止めたはじめに背を向けて、男の子は歩き出した。
「ま、待ちたまえ! 私は大丈夫だから、君から傘の施しを受ける理由がない」
「身体中びしょ濡れで、震えていて、くしゃみもしている時点で、理由には十分だと思いますよ」
男の子は振り返りもせず、言った
はじめにそんなことを言える者が、学園にいるだろうか。
まず間違いなく、いないだろう。
「む……」
はじめはその男の子の生意気とも取れる発言に、何も言い返すことができなかったのだ。
「……では、せめてこの傘を返すために住所と電話番号と名前を――」
「――自分のお小遣いで買ったビニル傘なので、返してもらわなくて結構です。では」
「せ、せめて名前だけでも教えてくれないか。このまま君を帰してしまっては、何のお礼もできずに終わってしまう。それでは騎馬家の跡取りとしての面目が丸つぶれだ」
はじめの必死な声に、軒から出る直前、男の子が足を止めて振り返った。その顔は、先ほどまでの柔和そうな表情ではない。はじめが面食らっているのを楽しむような笑みだ。
「名前だけでいいんですね?」
「へ……?」
「“ひかる”、です」
男の子はやはり、意地悪そうな笑みを浮かべている。
「名前だけで、ぼくにお礼ができるなら、してみてください」
「なっ……」
「面目が丸つぶれにならないといいですね」
そう言って、男の子は軒先から出て駆けだした。雨の中、男の子の姿はすぐに見えなくなった。
「……いいだろう」
はじめは、ブルブルと両手を震わせていた。しかしそれは、寒さによる震えではない。
「“ひかる”くん、ね。騎馬家の跡取りの、そしてダイアナ学園中等部生徒会長の誇りにかけて、意地でも君にお礼をしてやろうではないか」
闘志をメラメラと燃やし、そしてはじめは――、
「――くしゅん」
くしゃみをした。
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