【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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580:名無しNIPPER[saga]
2018/05/27(日) 10:02:16.26 ID:IIOvQ4Oi0

…………………………

「おはようございます、生徒会長」

「はい、おはようございます」

 家を出て、学校が近づくにつれて、はじめと同じ制服を身につけた生徒が増えていく。皆、はじめを認めると笑顔で、場合によってはかしこまりながら、あいさつをしてくれる。はじめはそれにひとつひとつ、丁寧に対応する。

「騎馬さん、おはよう」

「……ん、ああ、おはよう。君たちか」

 何人目だろうか。はじめがあいさつを返した相手は、よく見知った生徒会のメンバーだ。王野ゆうきと美旗あきら、庶務の二人組だ。

「騎馬さんってすごいよね。遠くから見てもすらっと伸びた背筋と綺麗な黒髪ですぐわかるよ」

「それは褒め言葉と受け取っていいのだろうか」

 ゆうきの言葉に、はじめは少し笑う。本当に、この同級生は面白いことを言う。

「今日は大埜さんは一緒じゃないのかな?」

「ああ、めぐみはここのところ毎朝剣道の稽古を受けているから、朝早くに学校に行ってるの」

「剣道……?」

「郷田先生に教わってるんだ」

 中等部に剣道部はなかったはずだ。一体全体どういうことだろうか。はじめは困惑しつつも、真面目なめぐみのことだから、何か意図があるのだろうと考えることにした。

「ん……?」

 ふと視線を感じ、振り返る。電柱の陰に隠れるようにして、何者かがこちらを見つめている。はじめの視線に驚き、電柱に身を隠そうとするその人物は、見間違えるはずもない、鈴蘭だ。

「ちょっとすまない」

「へ?」

 ゆうきとあきらに短く告げて、はじめは後方の電柱までずんずんと戻る。

「おはよう、鈴蘭」

 そして電柱の陰に身を隠そうともがいている鈴蘭に声をかけた。

「一体何をやっているんだい?」

「う、うるさいわね。あたしが何をしていようが、あんたには関係ないでしょ」

 真っ黒な髪、真っ黒な瞳、そして病的なまでに白い肌、細い手足。鈴蘭は、ただでさえまなじりの上がった目を釣り上げて、そう言った。

「隠れるくらいなら、素直に来てくれたらいいのに」

「は、はぁ!? べつに隠れたりしてないし……」

「仲間に入りたかったんじゃないのかい?」

「!? だ、誰があいつらなんかと……!」

 鈴蘭の動揺は凄まじかった。

「あいつら? 王野さんと美旗さんを知っているのかい?」

「……知らない。あたしが知ってるわけないでしょ」

 当のゆうきとあきらはこちらを見つめて不思議そうに首を傾げている。

「ま、いいや。紹介するよ」

「は、はぁ!? ちょっと、手を放しなさいよ!」

 暴れる鈴蘭の手を掴み、引く。鈴蘭の華奢な手足では、文武両道を地で行くはじめの膂力に敵うはずもない。はじめはゆうきとあきらの元へ戻ると、疲れ果てて逃げる気力もなくなった様子の鈴蘭の手を放した。



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