【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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579:名無しNIPPER[saga]
2018/05/27(日) 10:01:43.46 ID:IIOvQ4Oi0

ファーストプリキュア!

第十八話【雨の日の出会い 優しい? 紳士な? 男の子】



「はじめさん」

 朝、母とふたりで朝食を頂いているときのことだ。いつもなら、食事中に口を開くようなことをしない母が、箸を置き、口を開いた。

「はい。お母様」

 はじめも、箸を置き、母と目を合わせた。緊張で、少し心臓が高鳴る。

 母が食事の際に口を開くというのは、大体はじめに何かを咎めるときだ。

「先日、担任の皆井先生からお電話を頂きました。あなたのことです」

「は、はい……」

 何かをしただろうか。思い返してみるが、特に思い当たることはない。

「“最近、よく笑うようになった”と。皆井先生は仰有っていました」

 母はぴくりとも笑わずにそう言った。

「お友達も増えたようですね。後藤さん、といいましたか。先日の長電話のお相手は、その方ですか?」

 鈴蘭の名が飛び出して、はじめは内心の動揺を見せまいとする。

「はい、その通りです」

「皆井先生が仰有るには、その後藤さんと一緒にいるとき、あなたはいい笑顔をしているそうですね」

「そ、そうなのでしょうか……」

 それは自分ではよくわからないことだ。ただ、母には口が裂けても言えないが、鈴蘭と一緒にいると、騎馬家のことだとか、生徒会長であることとか、そういったことを忘れるときがある。

「……悪いこととは申しません。ただ、先日の長電話のような、騎馬家の跡取りとして相応しくないような行為は慎みなさい」

「はい。肝に銘じております」

 それきり、母は箸を取り、食事を再開した。はじめも母に倣い、箸を取る。

(……まるで、)

 はじめは心に大きな杭が刺さったような気持ちで、思った。

(鈴蘭と付き合うなと言われているようだ……)

 けれど、それを母に尋ねる勇気は、はじめにはなかった。



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