【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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572:名無しNIPPER[saga]
2018/05/13(日) 22:04:04.72 ID:sptbJ6v70

…………………………

「あら、ゆうきちゃん」

「はぇ? あ、ひなぎくさん」

 戦い終わって、廊下に戻り職員室へ向かう道すがら、ひなぎくさんと出会った。

「ちょうどよかったわ。はい、これ」

「へ……?」

 ひなぎくさんが差し出したのは、今まさに探していた、ラブリだった。ラブリの目は安堵で潤み、今にも泣き出しそうなほどだ。ゆうきは慌ててひなぎくさんからラブリを受け取った。

「あ、ありがとうございます! でも、これ……」

「いつも持ち歩いているぬいぐるみのひとつでしょ? 職員室に届けられてたから、ちょっとうそをついて持ってきちゃった」

 てへっ、とひなぎくさんは舌を出して笑う。そんな所作が似合うのは、間違いなくひなぎくさんが美人さんだからだろう。と、そんなことはどうでもよくて。

「ど、どうしてそんなことを?」

「だって、学校にぬいぐるみを持ってきてることがバレたら、ゆうきちゃん怒られちゃうでしょ?」

「あっ……」

 たしかにその通りだ。怒られるかどうかはともかく、注意はされるだろう。ダイアナ学園は、基本的に勉学に不要なものは持ってきてはいけないのだ。生徒会の一員であるゆうきがそんなことをしていたら、間違いなく先生はいい気持ちではないだろう。

「すみません……。ありがとうございます」

「いえいえ。もう落としちゃダメよ」

「はい!」

「それじゃ、ね。新作のスイーツ考えてるから、またお店に試食しに来てね」

「わー、ぜひぜひ! 行きます行きます!」

「……こら。恩人にがっつかないの」

 愉快そうに笑うひなぎくさんと別れ、人が周囲にいないのを確認して、そっとラブリをカバンにしまう。ラブリはカバンの中でようやく一心地ついたように、大きく息を吐いた。

「……た、助かったレプ」

「まったく、気をつけてよね」

「面目ないレプ」

 肩を落とすラブリに、あきらは言った。

「でも、わたしのためにがんばってくれたんだよね。ありがとう、ラブリ」

「レプ……。お礼を言われるようなことじゃないレプ」

 何はともあれ、問題はすべて解決した。三人と四人の妖精たちは帰路についた。と――、

(ん、でも……)

 めぐみの頭には、ひとつひっかかることがあった。

(ひなぎくさんのパン販売、お昼休みだけよね。こんな時間までどうして学校にいたのかしら……?)

 ゆうきにラブリを届けるためだろうか。しかし、ひなカフェのこともあるというのに、そこまでお人好しなことを、普通するだろうか?

「……ま、いいわ。大したことじゃないわね」



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