【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/05/13(日) 22:04:31.22 ID:sptbJ6v70
…………………………
翌日、早朝。
彼は苦々しい気持ちを抱きながら、ダイアナ学園の中庭、あきら曰く“秘密の場所”である植樹に囲まれたそのスペースで、彼女と向き合っていた。
「昨日、新しい詩を書いてきたんです」
そう言って、あきらは彼にノートを差し出した。年頃の少女が想いの丈を書き綴ったそのノートを差し出すことに抵抗がないはずはないだろう。彼のことを信頼しているのだろう。
彼などのことを、信頼してくれているのだろう。
(くだらない……)
彼はいちいち感傷にひたりたがる己に嫌気がさして、あきらが差し出したノートを黙って受け取った。開かれていたページ綴られている文字を目で追っていく
「……わたし、今まできっと、思ったことを、感じたことを、そのまま文字にしていただけだったんです」
あきらがとうとうと口を開く。
「今回は、考えて書きました。ただ思いの丈をぶつけるだけじゃなくて、しっかりと、考えて」
「……なるほど」
その詩には、たしかにその努力が見て取れるようだった。
「昨日の出来事を、早速自分の力に変えたのか。まったく、すごいことだ」
「へ? 昨日の出来事……?」
「なんでもない。忘れてくれ」
彼はノートを閉じて、あきらに差し出した。
「いいと思うよ。これ以上、ぼくから何を言うこともない。技術的なものも何もかも、伝えられることは伝えたからね。あとは君が、書き続けるだけだ」
そう言って、彼は立ち上がった。
気まぐれでしていた彼女への詩のレッスンだが、本来詩というものは、本人の心の発露でしかない。国語的な技術さえ伝えてしまえば、もう彼がどうすることもない。
「あ……待ってください。渡すものがあるんです」
あきらがそう言って、カバンから何かを取り出した。それを見て、彼は少し驚いた。
「このはさみ、昨日拾ったんです」
「ぼくの、剪定用のはさみ……なぜ……?」
「えっ? いや、だから、拾ったんですけど……」
動揺する彼に、彼女も少し動揺している。
“拾った”というウソをついているからだろう。
「……そうか。ありがとう」
そう言って、彼はあきらからはさみを受け取った。
(なぜ……)
その疑問を、心の中でだけ反すうする。
――――なぜ、はさみを破壊しなかった?
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