【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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556:名無しNIPPER[saga]
2018/05/13(日) 21:56:45.24 ID:sptbJ6v70

「ああー……」

 松永先生が納得するように。

「たしかに、後藤は手がかかりそうですね。地頭もいいし手先も器用だから、きちんとやればちゃんとできるだろうに、もったいない」

「今は生徒会長の騎馬が世話を焼いてくれているが、騎馬に負担をかけ続けるのも悪いし……どうしたものか……」

 皆井先生は真剣に悩んでいるようだった。松永先生から手渡されたカップを傾け、ずずずとコーヒーをすする。

「あー……私も、授業の中で後藤のことは気になっていました。私からも、一度後藤と話をしてみます」

「本当ですか? 助かります、郷田先生」

 皆井先生はガバッと郷田先生の手を握る。皆井先生は決して悪い先生ではないし、甘いマスクも相まって生徒を引きつける力はあるのだが、いかんせん言動がズレることが多い。彼は冷静に皆井先生の手を引き剥がす。

「あ、そうだ。さっき十条が私のところにきて、落とし物を届けに来たんだ。これ、覚えはないですか?」

 皆井先生がデスクから何かを取り出した。彼は皆井先生が差し出したソレを見て、またコーヒーを噴き出しそうになる。

「ぬいぐるみみたいなんだけど、生徒が学校にぬいぐるみを持ってくるかなぁ、って」

「どれどれ」

 松永先生が皆井先生からソレを受け取る。

「なんか毛並みもしっかりしていて、高そうだなぁ。生徒の持ち物か?」

「うーん……」

 なぜ。

 なぜ、こんなところに。

「ふたりとも、もしこのぬいぐるみの持ち主がわかったら、教えてくれると助かります」

「わかりました」

 皆井先生は疲れ果てた顔だ。よっぽど鈴蘭に手を焼いているのだろう。その上担任学級の生徒から落とし物まで届けられて、昼休みにろくろく休めていないのだろう。その気持ちはわかるし同情するのだが、彼は皆がぬいぐるみと思い込んでいるソレから目が離せない。

「……じゃ、皆井先生のストレス発散がてら、今日飲みにでも行きますか」

 松永先生が言った。

「本当かい? ありがたい。お酒でも飲まないとやってられないですよ……」

「郷田先生も今夜空いてますか?」

「えっ……?」

 急に話を振られ、彼はたじろぐ。歓迎会は開いてもらったが、個別の飲み会の誘いをされたのは初めてだ。そもそも、彼の頭の中はそれどころではなかった。

 なぜこんなところに、愛の王女がいる?

「あ、いや、その……私は……――」



「――あら、ご一緒してきたらいいじゃないですか、篤志さん」



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