【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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555:名無しNIPPER[saga]
2018/05/13(日) 21:56:18.48 ID:sptbJ6v70

…………………………

 高等部の男子の体育は全く体力を削られる。彼の鍛え上げた身体をしても、ここ最近のデスクワーク中心の仕事がたたったのか、三時間連続で高等部の男子たちを相手に球技をすれば、多少なりともヘトヘトだ。若い彼のことを思いやって、年配の先生ばかりの体育科の教諭たちは、男子高校生たちに混じって球技を楽しむと良いと言ってくれるが、それが逆に彼の体力を削っているとは思いもよらないだろう。

 そんな高等部での授業を終え、昼休みになった。片付けなどで時間を取ってしまったので、もう昼休みも終わる頃だ。今日もお昼ご飯は食べられそうにない。

「郷田先生、おつかれさんです。コーヒーいれたばっかりだけど、飲みます?」

「ああ……ありがとうございます。いただきます」

 中等部の職員室に戻ってきた彼にカップを差し出してくれるのは、同僚の松永先生だ。若い教諭の多いダイアナ学園は、生徒のいないところではお互いにフランクに話すことが多い。

「高等部での授業ですか? 男子の相手はきつそうですね」

「いや、まぁ、さすがに十代の体力には敵いません」

「俺の技術科は中等部にしかないから、高等部がどんなもんかわからないんですよね。今度授業見に行ってもいいですか?」

「私の授業をご覧になるより、先達の先生方の授業をご覧になった方がいいかと……」

「いやいや、体育科のおじいちゃん先生、言ってましたよ。『郷田くんは生真面目で勉強熱心で素晴らしい』って」

 松永先生はいたずらっぽく笑う。痩身の彼は、しばしばやや失礼な物言いをするが、そのあたりも彼の人徳なのだろうが、それを咎める先生はいない。言葉の選び方がうまいのだろう。

 現に、職員室の奥から「松永ー、誰がジジイだー!」という声が飛んできて、松永先生はわざとらしく「実際おじいちゃんでしょー」と笑いながら返し、職員室中が笑いに包まれている。

「そうですか。未だに指導案はダメ出しばかりですが……」

「そんなもんすよ」

 松永先生が笑う。と、

「松永先生、私にもコーヒーをくれないかな?」

 空のコーヒーカップを松永先生に差し出すのは、顔色の悪い英語科の皆井先生だ。

「んあ? 皆井先生、さっきコーヒーあげたばっかりでしょ。もう飲んだの?」

「眠くて仕方がないんだ。最近、寝付きが悪くて……」

「仕方ないなぁ」

 松永先生がカップを受け取り、サーバから注ぐ。

「寝付きが悪いって、何かあったんですか?」

「いや、うちのクラスの後藤鈴蘭が、なかなか手の焼ける生徒で……」

「っ……」

 ちょうどコーヒーに口をつけかけていた彼は、思わぬ名前が飛び出して、噴き出しそうになる。



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