【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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554:名無しNIPPER[saga]
2018/05/13(日) 21:55:51.93 ID:sptbJ6v70

「それに比べてラブリは……」

 己は愛を知らない。

 幼少の頃から、父上と母上と接する時間より、勉強をする時間、本を読む時間、馬術の稽古をする時間、ダンスのレッスンを受ける時間、そして礼儀作法を学ぶ時間のほうがずっと長かった。人との繋がりは事務的なものでしかなかった。そんな自分に、どうして愛がわかるだろうか。

(……それでも)

 落ち込んでいる暇はない。

 ロイヤリティのために、ホーピッシュのために、そして、あきらのためにも、早く愛のプリキュアを見つけなければならないのだ。と――、



「ぬいぐるみ?」



(レプっ……!?)

 拳を握りしめ、決意を固めていたから、その接近に気づくことが出来なかった。

 はじめと鈴蘭が通り過ぎた後、もうひとりがその場を通りかかったのだ。

「ん……」

 その何者かは、身じろぎできないラブリをひょいと持ち上げた。目の前に来た女子生徒の顔も、ラブリには見覚えのあるものだった。

(レプ……そうレプ。たしか、生徒会副会長の、十条みことレプ)

「なんか、どことなく上品なぬいぐるみ。誰かの落とし物?」

 とはいえ、ぬいぐるみのフリを続けなければならないラブリにはどうすることもできない。

「どうしよう。とりあえず先生に届けるべき?」

 矯めつ眇めつ、ラブリを見つめる目は興味深そうだ。ラブリは冷や汗をかきながら、耐える。

「……高そう。皆井先生に届ける」

 大切そうに持ってくれるのはいいのだが、その歩が向かうのは職員室の方向だ。

(れ、レプ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜! ゆうき、めぐみ、あきら〜〜〜〜、助けてレプ〜〜〜〜〜〜〜!)

 その声にならない悲鳴は届くことはなく、ラブリはそのまま第一職員室まで丁重に運ばれていった。



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