【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
1- 20
549:名無しNIPPER[saga]
2018/05/13(日) 21:53:05.66 ID:sptbJ6v70

…………………………

 天使か、はたまた悪魔か。

 そう思えるくらい、彼は美しかった。彼の歌声も、美しかった。ただただ、感嘆に胸を震わせていると、歌声が止まった。

 霧の中振り返った彼と、あきらの目線がぶつかった。

『……?』

『あっ……』

 胡乱げな目線をくれる、当の彼――主事の蘭童さん――は、どういった感慨も見せず、淡々とあきらの目を見つめていた。

『……おはようございます』

『あ……お、おはようございます』

 蘭童さんから放たれたのは、ひどく陳腐なあいさつだった。当然だ。ここは学校で、あいさつは美徳とされる場所だ。本来であれば、あきらからあいさつをするべきだっただろう。

『こんな時間に生徒がいるとは思わなかった。しかも、よりによって君か』

『へ……? わたしのこと、ご存知なんですか?』

『……はは。まぁ、君がよくこの場所で、何か書き物をしているのを見かけていてね』

『あっ……』

 顔が熱くなる。誰にも見られていないと思っていたのに、あの秘密の作業をよりによって学校職員に見られていたなんて。

『そんな顔をしなくていい。君が何をしているのかまでは知らないよ』

 あきらの心の中を見透かすように、蘭童さんはそう言って笑った。あきらは途端に恥ずかしくなって、頭を下げた。

『君はよくこの場所を秘密の場所のように使っているようだね。実はぼくもなんだ。こうやって、始業前に時々歌を歌わせてもらっている』

『あっ、その……邪魔をしてしまって、すみません……』

『いいさ。始業前に、ストレス発散で歌っているだけだから』

 蘭童さんは本当にどうでも良さそうに。

『こんなに早くから登校とは感心だね。なんとも、光が強いことだ』



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
647Res/1111.54 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice