【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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529:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:42:00.07 ID:7mW+iPec0

…………………………

「……さて、申し開きがあるのなら聞いておくけど?」

「…………」

 怪物とつばぜり合いをしたままの彼に、怪物を呼び出した下手人の男が話しかける。

「どういうつもりだい? せっかく、君を利用してキュアユニコを倒そうと思っていたのに、予定が狂ったじゃないか。君をただのホーピッシュの住人だと思い込んでいる大埜めぐみは、プリキュアに変身することができないからね」

「そんな予定は知らんな」

 彼は両腕に力を込める。しかし敵も然る者、怪物は凄まじい膂力を持って、その彼の力に対抗する。怪物から立ちのぼる黒い闘気は、達人のソレに近い。

「正気か? プリキュアを倒すチャンスだったんだぞ」

「あの方がそんな卑怯な手段を許すとは思えん。そして、私は今、生徒を守る立場なのでな」

 彼は力をずらし、怪物の竹刀を凌ぐ。その巨大な竹刀は、轟音を立て剣道場の板張りの床を破壊する。

「なるほど。そちらがその気なら、ぼくは君をホーピッシュの人間と見なし、攻撃しても構わないということだね」

「ッ……!」

 怪物が明確な敵意をもって、悪辣なる瞳で彼を睨み付ける。男の愉快的な言葉が怪物に影響を与えていることは疑いようもないことだった。怪物は地を這うような足捌きで移動し、彼に竹刀を振り下ろす。

「いやいや、これも君を助けるためさ」

 ダッシューは心の底から楽しそうに笑う。

「プリキュアたちが戻ってきたときに君がぼくと楽しそうにお喋りをしていたら、潜入がバレてしまうだろう?」

「ッ……」

 彼は怪物が上段から振り下ろす竹刀をただ避け続けるしかなかった。今の彼には、正面から怪物と戦うような力はない。

「ケガをさせるつもりはない。少し眠っているんだね」

 男の声と同時、怪物が竹刀を引く。かと思えば、凄まじい風圧をともなって、彼に向かって突きが放たれる。

「ぐッ……!?」

 なんとか竹刀で受けるも、威力は少し減じただけだった。彼は吹き飛ばされ、壁に背中から激突する。今の彼は何の力もないただの人間に等しい存在だ。鍛えていなければ重傷を負っていたかもしれない。

「きっ……さま……!」

「ふふ。タイミングぴったりだ。気絶したフリでもしておくといい」

 男はもう彼を見ていなかった。剣道場の入り口には、既にプリキュアたちがやってきていたのだ。

「このウバイトールは凄まじい力を持っている。このウバイトールならば、きっと奴らを正攻法で倒せるからね」

 男のその声を聞いて、彼はそのまま、フリではなく、本当に意識を手放した。



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