【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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520:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 17:37:02.44 ID:7mW+iPec0

…………………………

 先日の木工室での戦いの後から、ゆうきとあきらはめぐみのことが気にかかっていた。明らかに、思い詰めるような顔をするようなことが増えたからだ。ふたりは時々、めぐみがいないところで話し合った。十年来の幼なじみふたりの考えは全く一緒だった。

 絶対、めぐみは先日のパーシーとラブリの話を受けて、何らかの使命感に燃えている、と。

 だからその日、放課後になった途端、思い詰めたような顔で教室を後にし、どこかへ向かっためぐみのことを心配し、ふたりでこっそり後をつけたのだ。

「友達の後をつけるなんて良くないことグリ」

「パーシーも、あんまり良くないと思うドラ……」

「……やれやれレプ」

 妖精たちの憤慨するような声や呆れる声を無視して、ふたりはめぐみの後をつけた。めぐみは校門へ向かうのではなく、学校の中を進んでいった。まっすぐ目的地へ向かっているようだった。

「こっちって学校の奥だよね。何かあったっけ?」

「うーん……。たしか、格技棟とプールがあったはずだけど」

 プールは今の時期は閉まっている。ならば、めぐみは格技棟に向かっているのだろうか。

「格技棟って何があるんだっけ? 柔道場?」

「柔道場と、剣道場と……あと、フェンシング部の競技場だね」

「フェンシング部? うちってそんな部活もあるんだ」

 ゆうきが感心しながら言った。

「うん。高等部だけだけどね。でも、かなり強豪らしいよ?」

「ほへ〜」

「なんでも、格好いい先輩がたくさんいるんだって」

「……あきら、それ誰情報?」

「えっ? ユキナだけど……」

「やっぱりそうか」

 あの耳年増な演劇部員は、ゆうきの幼なじみに何を吹き込んでいるのだろうか。

 そんな話をしていると、めぐみは格技棟の中に入っていった。ゆうきとあきらは頷き合い、そろりそろりと格技棟に入る。中は部活動が行われていて、色々な声で騒がしい。そんな中を、めぐみはゆっくりと歩いて行く。

 めぐみはあるところで足を止めた。そこは、フェンシング部の練習場の入り口だ。女子生徒数人が、きゃーきゃー言いながらすでに練習を眺めている。それに混ざるように、めぐみもフェンシング部の見学を始めたようだった。

「め、めぐみがあれに混ざった!?」

「そういえば、今日ユキナが格好良い先輩の話をしたとき、わたしと一緒にめぐみもその話を聞いてたよ」

「えっ!? じゃあ、めぐみはひょっとして、その格好良い先輩に、興味津々……!?」

「……ふわー。めぐみって、結構年頃の女の子なところあるんだね」

 ふたりは頬を赤くしながら、しばらくフェンシング部の練習を眺めるめぐみを眺めていた。やがて、めぐみは憂いを帯びた顔でため息をつき、こちらを振り返った。

 ゆうきとはじめは慌てて物陰に隠れ、そのままめぐみに見つからないように格技棟を出た。しかし、なかなかめぐみが出てこない。フェンシング部の見学を終えたなら、すぐに出てくるはずだろう。不思議に思ったふたりは、そのままめぐみを待っていたのだ。

「……めぐみ、イケメンに興味あったんだね」

「まぁ、イケメンに興味ない女子は、あんまりいないと思うけど……」

 そんなくだらない話をしていると、めぐみが格技棟から出てきた。その目は先ほどの憂いを帯びた色ではなく、希望に満ち満ちた色だ。その表情の変化は不思議だが、考えてもわからない。

「おーい、めぐみー!」

 ゆうきはめぐみにそう呼びかけた。



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