【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/04/29(日) 17:36:36.66 ID:7mW+iPec0
…………………………
そして現在。めぐみは、格技棟にある剣道場で正座する郷田先生と向き合っていた。
「……弟子だと?」
郷田先生は表情を変えなかった。
「どういう意味だ?」
郷田先生は、最初は中等部の女子生徒から少し恐れられていたように思う。寡黙で表情も変わらず、淡々と事実のみを口にするからだ。年頃の少女ばかりのダイナ学園女子中等部において、やや異質な教員だったかもしれない。しかし、今は、めぐみ自身も含めて、女子生徒で郷田先生を怖がる者は少ない。なぜなら、子どもの目から見ても、郷田先生が真摯に学校現場に向き合い、生徒たちに目を向けていると分かったからだ。
ある生徒は放課後の空き教室で一人で保健の模擬授業をする郷田先生を目撃したと言い、ある生徒は部活帰りの遅い時間に、グラウンドで黙々と翌日の体育の授業の予習をする郷田先生を目撃したと言う。かくいうめぐみも、生徒会活動の後で、部活動の終わったグラウンドでサッカーコートの確認をする郷田先生を見かけたことがある。体育の授業の準備は、運動部の兼ね合いもあり、生徒たちが帰る時間にならないとできないのだろう。
だからめぐみはいま、寡黙で暗い表情のその体育の教員と向き合っても、決して怖いとは思わなかった。
「先生に剣道を教えてほしいんです」
「……ダメだ。中等部に剣道部はない。高等部にも女子剣道部はない」
郷田先生の返答は簡潔だった。話はそれで終わりだろうとばかりに、郷田先生はめぐみから目を逸らした。
「わかってます。でも、私、勝手なことだとは分かっていますけど、先生から剣道を習いたいんです。さっき、少し試合を見せてもらいました。先生がすごく強いのがよく分かりました。私には、その強さが必要なんです」
郷田先生が顔を上げ、立ち上がる。めぐみをはるか見下ろす瞳は、ひどく暗い。しかしめぐみはひるまなかった。
「お願いします。私に剣道を教えてください」
めぐみはもう一度頭を下げた。顔を上げると、郷田先生は何の感情も見えない表情で、めぐみを見下ろしていた。
「なぜ強さが必要なのだ?」
「守りたいものがあるからです」
理由など決まりきっている。自分は強くならなければならない。あきらを守るためにも。フレンたちを守るためにも。
「…………」
郷田先生は無言でめぐみを見続けた。めぐみもまた、郷田先生を見返し続けた。どれくらいの時間そうしていただろうか。やがて郷田先生は息を吐くと、こういった。
「……明日は部活がない。明日の放課後、もう一度剣道場に来い。話はそのときだ。もう部活の休憩時間が終わる。悪いが、出ていってくれ」
「わかりました。お話を聞いてくださってありがとうございました。明日、またここに来ます」
めぐみは素直にそう答えると、呆気に取られてめぐみを見つめている剣道部の高等部男子たちにも頭を下げて、剣道場出て、格技棟を後にした。
と――、
「おーい、めぐみー!」
「……? ゆうき? あきら?」
なぜかそこで、大親友ふたりがめぐみを待っていたのだ。
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