【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/04/22(日) 20:57:54.56 ID:TS+ShyS90
「前も言っただろう? 友達だからだよ」
そして同じように、はじめが答えた。
――――『……じゃあ、友達なんかじゃなくていいわよ。邪魔なのよ』
以前吐き出した、ひどい言葉を思い出す。
――――『そうか。そうだよね。すまない。お節介がすぎたかもしれない』
ショックを受けたような、はじめの顔を思い出す。
「……あんなひどいこと言ったのに、どうして」
「? ひどいことって、何だったっけ?」
信じられなくてはじめの顔を見る。はじめは本当に不思議そうな顔で、首を傾げていた。
「しっ……信じらんない。あんた、おかしいんじゃない?」
「ははっ、完ぺきすぎて怖いとかはよく言われるけど、おかしいって言われたのは初めてだね」
「嫌味な奴……」
彼女はその笑顔がまぶしい友達から目を逸らした。これ以上話をしても、こっちの頭が痛くなるだけだ。しかし、はじめはまだ話を続けたいようだった。
「ところでさ、ひとつ聞きたいんだけど」
「……何よ」
「鈴蘭は、どうして木工室に行ったんだい?」
瞬間的に頬が紅潮する。自分でも驚くくらい、顔中が熱くなる。
「ど、どうしてって……そんなの、あんたには関係ないでしょ!」
「ははぁ。その動揺から察することができたから、もう答えなくて良いよ」
はじめは可笑しそうに笑った。
「なっ、何を想像してるのか知らないけど、違うから! あんたにひどいこと言っちゃったから、せめてあんたの言うことを聞いてやろうと思ったとか、そういうことじゃないから!」
「すごいな。所謂ツンデレというやつの見本を見ているようだ」
「あー! もう! あんた、本当にムカつくわね!」
「はいはい。今は誰もいないけど、ここは保健室だから静かにね」
「きーっ!」
はじめは、言葉とは裏腹に、けらけらと愉快そうに笑い続けた。
彼女は怒りを憶えながら、どこか心安らかな気持ちで、その友達に怒りをぶつけていた。
彼女は、彼女の仲間にも、クラスメイトにも、上司にも、絶対にそんな顔を向けたりはしない。
そして彼女は知らないが、目の前で楽しそうに笑うはじめも、両親にも、クラスメイトにも、そんな笑顔を見せることはしない。
それはお互いに、ふたりだけの間で現れる、ふたりだけの無邪気さだ。
それは、闇が消えた世界での、ほんの一幕。
愛を失った少女と、愛を知らない少女の出会いがもたらした、束の間の安らぎの時間だ。
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