【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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487:名無しNIPPER[saga]
2018/04/22(日) 20:47:06.49 ID:TS+ShyS90

「うん、しっかりできているな。後藤は物作りが得意なんだな」

「ふふん、当然よ。昔から色々な習い事をしてきたもの。これくらい――」

 鈴蘭の自慢げな声が止まった。

 不思議に思い、手を止めて振り返る。鈴蘭が頭を押さえて、明らかに狼狽していた。

「あ、あたしの昔……? いや、あたしは……」

「……? 後藤? どうかしたか?」

 松永先生が心配そうに声をかける。鈴蘭はハッとしたような顔をして、直後、表情が不機嫌なものになる。

「……なんでもないわ」

「そうか。体調が悪いとか、そういうことはないか?」

「なんでもないって言ってるでしょ」

 鈴蘭は吐き捨てるように言った。

「……そうか。ならいい。ところで、この作品だが、もう一回ニスを塗り足して、もう一度磨いたらもっときれいになるんだが……」

「……それは、やらないといけないこと?」

「ん……そういうことではないな」

「なら、いいわ。完成したんだから、これでいいでしょ」

 鈴蘭はそう言うと、てきぱきと片付けと掃除を終え、作品を提出用の棚に入れると、さっさと木工室を出て行った。

「んー……後藤が自分から片付けと掃除をするとは、よっぽど早く帰りたかったんだな」

 松永先生が不思議そうに言う。

「それにしても、もったいないなぁ。これだけの作品を作れるなら、あと一歩がんばれば、もっとすごい作品になるのに」

 それは、本当に残念がるような声だった。松永先生は鈴蘭が置いていった作品を見て、ボードに何かをかき込んでいく。作品の表面を撫でたり、底を見たり、内面を覗き込んだり、様々な角度から作品を見つめているようだった。

「あ、あの、先生」

「……ん、ああ、すまん、王野。いま行くよ」

「いや、聞きたいことがあるんじゃないんです。何をしてるのかな、って……」

「ああ」 松永先生は恥ずかしそうに。「生徒に見せるもんじゃなかったな。すまん。作品の評価をつけていたんだよ」

「あ、そっか。作品で成績を出すんですもんね」

「ん、まぁ、それもあるが、それ以上に、生徒へのフィードバックだな」

「フィードバック?」

 ゆうきの頭に大きなはてなマークが生まれた。

「要は、お前たち生徒がやったことに対して、俺たち教員は何かを返さなくちゃいけないってことなんだ。テストの点数然り、日記へのコメント然り、提出された作品に対しての講評然り、な。評価ってのはカタチに表われる成績だけじゃない。俺たち教員自身の授業への自己評価だったり、生徒自身の到達度の指標だったりするんだ――って、こんな話をしても仕方ないな」

「?」

「俺たち教員の仕事の話だよ。ヘンな話をして悪かったな。お前は気にしなくていい」



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