【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/04/08(日) 10:01:55.26 ID:w9vsRS0p0
パーシーが走って逃げるのを見届けて、ドラゴは真っ直ぐにダッシューを見据えた。
「キュアドラゴ、か。まさか君が、伝説の戦士プリキュアになるとはね」
「さっきののこぎり、パーシーに当たるかもしれなかった。危ないとは思わないの?」
「ふん。この世界の基準や倫理観で物事を考えるのはやめた方がいい」
ダッシューはとうとうと、ドラゴに語りかけるように。
「君はぼくとよく似ている。ぼくも、君と同じように、人に何かを伝えるのが嫌いだ。本心をさらけ出すなんて馬鹿げている」
ダッシューは笑う。
「本心は隠してこそ、だ。傍から人が失敗するのを見て笑う。要領が悪い奴を見て笑う。それでいいじゃないか。情熱なんて持ったって、自分が周りから笑われる立場になるだけさ」
「…………」
「黙りこくったままでいいじゃないか。君は友達とトラブルになったんだろう? だったら、もう関わらなければいい。そうすれば何も起きない。君が傷つくこともない。友達を傷つけることもない。それでいいじゃないか」
「……わたしは」
「うん?」
ダッシューの言っていることは、きっとある一面では正しい。人を傷つけるくらいなら、関わらない方がいい。傷つくだけなら、関わらない方がいい。それは、間違いないことだろう。
「人と関わるのが苦手だよ。怖いよ。だから、黙りこくって、うつむいて、じっとしていることも多いよ」
一年生のとき、ずっと一緒だった小学校の友達と離れて、親友のゆうきとも別のクラスになって、ダイアナ学園でひとりきり、無為に時間を過ごすことが多かった。
クラスメイトは何度も話しかけてきてくれたのに。
あきらは、その優しさが痛くて、怖くて、逃げ出した。
そして、大切な幼なじみの心からも逃げようとしている。
そうすれば、たしかにあきらは傷つかないだろう。
きっと誰も傷つかないだろう。
しかし、それでも。
「でもね、わたしは……」
心に灯ったこの炎を消したくない。
せっかく生まれたこの情熱を、消したくない。
だから――、
「わたしは誰かと一緒に生きていきたいよ。傷つくかもしれない。傷つけてしまうかもしれない。でも、そのたびに謝って、謝られて、そうやって、生きていきたいよ」
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