【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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35:名無しNIPPER[saga]
2017/12/24(日) 10:41:27.23 ID:3zYuh2uB0

 身体に衝撃が走った。それはけれど、どこか優しく、自分をいたわるような……守ってくれたような、そんな感じがした。

 何が起きたのかはまったく分からなかった。気づけば、めぐみは何かにのしかかられながら、アスファルトに倒れていた。

「えっ……王野さん!?」

「よ、かった……間に合ったぁ……」

 めぐみは頭の回転が速い。倒れる自分を抱き抱えるようにのしかかるゆうき。それを見ただけで、何が起こったのかを瞬時に理解したのだ。

「あなた……私を突き飛ばして、助けてくれたの?」

 つまり、あの怪物に身体がすくみ動けなかった自分を助けるために、無理矢理突き飛ばしてくれたのだろう。

 この、王野ゆうきというクラスメイトが。

「はは……ごめんね。痛かったでしょ?」

「そ、そんなことない!」

「そっか……よかった……痛っ」

 ゆうきが苦悶に顔を歪ませた。足を押さえている。

「王野さん!? その傷……!」

「はは……わたしって、ドジだからさ。やっぱりカッコ良く助けるなんてできないね」

「な、何を言ってるの! こんな、私なんかを助けるために、怪我するなんて……」

 胸の奥に熱いものがこみ上げてきた。喋ることすらままならない。気づけば、視界すら揺らめいていた。

「なんで、こんな……!」

「はは……ごめんね、大埜さん」

 自分を突き飛ばすときに思い切りアスファルトにこすりつけたのだろう。ふくらはぎが真っ赤になっていた。

「謝らないでよ! 王野さんは何も悪くないんだから……何で、こんなムチャをしたの……」

「……なんか、助けなくちゃって思ったんだ」

 ゆうきは、何でもないことのように笑って。

「さっきは、逃げ出しちゃってごめんね。わたし、臆病だから、逃げちゃったんだ」

「ちがう……謝るのは私。私、あなたが今日、おうちの用事があるって知ってたの。休み時間の話、聞いてたから……。だから、早く帰ってもいいよって、ただそれだけ、あなたに伝えたかった……なのに、私、優しくないことばかり言っちゃって、あなたを傷つけた。ごめんなさい……」

「……そっか、そうだったんだ。優しいね、大埜さんは」

「王野さんこそ、勇敢だわ。こんな怪我をしてまで、私を助けてくたんだから」

 めぐみは立ち上がり、ゆうきに手を差し出した。ゆうきは小さくうなずくと、その手を取った。



 ――――その瞬間、つないだ手から小さな光が生まれた。


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