【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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34:名無しNIPPER[saga]
2017/12/24(日) 10:39:59.21 ID:3zYuh2uB0

………………

「何……? 昼間なのに、暗い……?」

 それは唐突に訪れた異変だった。曇っているわけではない。現に青空は見えている。

 けれどその青空そのものが薄暗く、まるで作り物の空のようだった。

 考えてみれば人もいない。昼間の住宅街に人は少ないが、それでもこんなに閑散としているのは異常に思えた。

「……早く、王野さんを見つけて、謝らなくちゃ」

 ふと、身体に振動を感じた。地震にしては小さい。工事にしては、そんな音は聞こえない。単純な、ずしんずしんという衝撃。それはまるで、何か巨大なものが歩いているような音。

「……何?」

 嫌な予感がする。ぞくりと、背筋に冷たいものが走る。



『――ウバイトォォォオオオオオオオオオル!!』



「きゃっ!?」

 ズドン! と。大きな衝撃がめぐみを襲った。

 目を閉じて頭を抱え、そして腕の隙間から、薄目を開けた。

「電柱……?」

 しかし、薄目ではよくわからない。恐怖と好奇心が戦って、好奇心が勝利した。めぐみはおそるおそる、目を開いた。

 道路の真ん中に、電柱が立っていた。

 地面に突き刺さっているのではない。電柱が手足を出して、立っていたのだ。

「ひっ……!?」

「ふん、妙だな。ただの人間がこの位相に迷い込んだか」

「だ、誰……!?」

 本音を言えば、怪物でなければ誰でもいいという心境だった。すがるような思いで声がした方を向くと、何の変哲もない黒衣の男が立っていた。

 けれど、一目でわかる。その男は、決して良い存在ではない。

「まぁいい。邪魔なだけだな。潰せ、ウバイトール」

『ウバイトォォォオオオオオオオオオル!!』

 身体が動かない。電柱の怪物が細長い腕を振り上げる。

(あ、だめ、これ、私、)

 そして、勢いよく振り下ろされ――――



「――――大埜さん!!」


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