【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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335:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 11:40:39.61 ID:NMs8LA5T0

…………………………

「あ……後藤さん!」

 その日放課後、はじめはそそくさと荷物をまとめて教室を後にしようとするクラスメイトを呼び止めた。

「なに?」

 相手――転校してきたばかりの後藤鈴蘭――は、面倒くさそうという顔を隠そうともせず、応える。

「いや、その……もしよかったら、一緒に学校を回らないかい? 案内するよ」

「案内?」

「転校したばっかりで分からない場所も多いだろう? もしよかったら、だけど……」

「じゃあ遠慮しておくわ。この後用事があるの」

「そ、そうか……」

 なぜか少しだけ胸が痛む。あまり経験したことがない痛みだ。

「呼び止めて悪かった。また明日」

「ええ。また明日。騎馬さん」

 はじめは、そのまま教室を後にする鈴蘭の後ろ姿を見つめ、キリキリと痛む胸を、不思議に思うのだった。

(わたしはどうして、あの子のことがこんなに気になるのだろう。どうして……)

 自分のことで頭がいっぱいだったからだろう。

 立ち去る寸前、鈴蘭の目が、そっと自分を見つめていたことに、はじめは気づかなかった。

 その鈴蘭の瞳が、どこか申し訳なさそうに揺れたことに、気づかなかった。



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