【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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326:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 11:36:34.05 ID:NMs8LA5T0

…………………………

「……あら、どうしたのよ。ガラにもなく緊張した顔ね」

 それは、嘲弄するような少女の声だ。長い真っ黒の髪に、切れ長の瞳が特徴的な少女だった。身につける制服は明るい色合いだが、その彩りすら飲み込むような、黒い印象を与える少女だった。

 そこはダイアナ学園の体育館にある控え室だ。本来講演会などを開く際に講師の待機所となる場所だ。

「黙っていろ。人前に出るのは得意ではないのだ」

 それに応じるのは、いかめしい顔をした若い男性だ。筋骨隆々とした身体に、暗い色のスーツがよく似合っている。その眼光は鋭く、少女を射貫くように睨み付ける。

「これから毎日人前に出ることになるのよ? そんなんで大丈夫?」

「だから黙っていろ。それが命令ならば、私はそれに従うまでだ」

「ふん。あたしはこんな命令、納得してないけどね」

「………………」

 少女が目を向けた先、壁により掛かるように立つ細身の男性がいる。黙りこくって、うつむき、目を閉じている。いまにも消えてしまいそうなくらい、儚い印象の青年だ。

「なによ、さっきから黙りこくっちゃって。あんたも緊張してるの?」

「べつに。どうでもいい。これも仕事なら、やりきるまでさ」

 青年は身じろぎもせずそれだけ言うと、また口を閉じて黙ってしまった。

「ふん。どいつもこいつも」

「はいはい、みんな緊張しいなのね」

 どんよりした空気を吹き飛ばすような、その場にふさわしくないくらいやわらかくやさしい女性の声が響いた。こざっぱりとした装いの、見目麗しい女性だ。若々しいが、落ち着いた雰囲気だ。

「鈴蘭ちゃんも、いつもより口数が多いわよ?」

「っ……」

 女性の声に、少女が歯がみする。図星をつかれたからだろう。

「そろそろ子どもたちが体育館に集まるみたいね。鈴蘭ちゃんもクラスに戻りなさい」

「……わかりました」

 少女は不満そうに答えると、部屋を後にした。

「では、我々も行きましょうか。子どもたちを待たせてしまっては悪いわ」

「はっ」

 女性の声に、スーツの男性が応じる。それはまるで、主君に応じる家臣のように、かっちりと型にはまっていた。



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