【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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302:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 22:19:44.64 ID:LVapeV8q0

…………………………

 そこは、ロイヤリティでは感じたことのない、異質な地面が広がる土地だった。石張りの床によく似たその地面は、黒々とどこまでも広がっている。ホーピッシュは、異質だ。とても希望の世界とは思えないくらい、無機質だ。緑はあるにはあるが、あまり多いとは言えないし、何よりこの黒々として硬い異質な地面があまりにも広すぎる。この世界は、妖精の姿で歩き回るにはあまりにも厳しい。土とは違い、歩くだけで足が痛いし、お日様の照り返しも強い。体力もどんどん奪われていく気がする。

 愛の王女ラブリはそんな場所で、ひとりぼっちのまま愛のプリキュアを探していた。

「…………」

 ひとりは昔から慣れっこだった。

 ひとりでいるのが当たり前だったから、さみしいなんて思ったこともなかった。

 いつだって、ラブリはひとりぼっちだった。

「……関係ないレプ。ラブリが愛のプリキュアを生み出して、ロイヤリティを復活させればいいだけレプ」

 なんでそんなことを考えてしまったのだろう。考えたって仕方のないことだって知っているはずなのに。

「ブレイ……フレン……パーシー……」

 そういえば、とふと思い出す。自分以外の、たった三人のロイヤリティの生き残り。彼らは一体、どうしているだろうか。どこかで行き倒れしていないだろうか。敵に捕まってブレスと紋章を奪われてはいないだろうか。

「……関係ないレプ。ラブリには、関係ないことレプ」

 グゥ〜、と。その瞬間、とんでもない轟音が鳴り響いた。すわ敵襲かと身構えるラブリだが、すぐに気づく。自分の、お腹が鳴った音だ。

「そういえば、もうしばらく何も食べてないレプ……」

 ラブリはとうとう、道のすみに座り込んだ。

 ホーピッシュにつてなどはない。初めてやってきた土地で、さびしくさまよっているだけだ。それを「プリキュア探し」と言い張って、虚勢を張っているだけだ。四人の王子・王女の中で一番優秀だった己がこのていたらくなのだから、考えるまでもない。他の三人は、捕まるか、とっくに行き倒れているかのどちらかだろう。

「レプ……ッ」

 胸が痛む。

 関係ないはず、ないのだ。仲良くしていたわけではない。どちらかといえば、いがみ合ってばかりだった。それでも、容易に見捨てていい相手ではなかったはずだ。共に祖国を救うための使命を帯びた身の、仲間だったはずだ。そんな仲間たちを、自分は見捨ててしまったのだ。

「――ラブリ……?」

 おどおどとした声。少しだけなつかしい声。ああ、とうとう幻聴まで聞こえるようになってしまった。愛の王女ともあろうものが情けない。

 こんなところで、勇気の王子の声など、聞けるはずがないというのに。

「やっぱり、ラブリグリ!」

 ただし、それは幻聴というには、あまりにもはっきりとしすぎていた。背後からのその声に、ラブリが振り返る。果たしてそこには、勇気の王子ブレイと、優しさの王女フレンが並んで立っていた。

「無事だったグリね! よかったグリ!」

「ふ、ふん。ラブリのことだから、心配ないと思ってたニコ」

 これはいったいどういうことだろうか。思考を巡らすことはできなかった。ふたりの姿を認めた瞬間、ラブリは何かが外れたように、道端に倒れ込んでしまったからだ。

「ラブリ!? ラブリ、しっかりするグリ!」

「めぐみたちを呼んでくるニコ!」

 意識が遠のいていく中、そんなふたりの声が、聞こえた気がした。



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