【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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275:名無しNIPPER[saga]
2018/02/18(日) 19:10:12.49 ID:nI3CgSSH0

「ロイヤリティに跪き頭を垂れるくらいなら、あたしは今ここで死を選ぶわ! さあ、撃ちなさい! そのカビの生えたありがたい光で、あたしを撃ってみなさいよッ!!」

 ゴドーは気づいていなかったが、それはもはや悲鳴のようだった。ゴドーの中にあるロイヤリティの記憶。忌々しい、忘れたくも忘れがたい、最悪の記憶。それが、ゴドーの中を渦巻いていたのだ。

 いつの間にか、恐怖はどこかへ吹き飛んでいた。ゴドーは己の言葉に戸惑いの表情を浮かべる伝説の戦士に向かい、駆けだした。

「ご、ゴドー! いきなりどうしたの!?」

「うるさいうるさいうるさい!! 目障りなロイヤリティの光を、あたしに見せるなッ!!」

 ゴドーはすでに、考えることをやめていた。己の頭が示す嫌悪感のまま、己の憎しみという欲望を果たさんと突き進む、ただひとりの戦士だ。キュアグリフとキュアユニコが、迫るゴドーに向けて手を差し出す。それが示すのは、ロイヤリティの光が己を浄化するということだというのに、それでもゴドーは止まらない。憎いロイヤリティに向け、突き進む。

「ゴドー!!」

 キュアグリフの声も、すでに悲鳴のようだった。彼女は今にも泣きそうな顔をしていた。しかしそんな彼女とキュアユニコの手には、すでにロイヤリティの浄化の力が集まっていた。

 そして、ロイヤルストレートの清浄なる光が、ゴドーへ向け、放たれた。

(ああ……) 眼前に迫る清い光にゴドーは己の死を悟った。(あたし、これで終わりなんだ)

 このまま、ロイヤリティの光に浄化され――、



「――そろそろ試してみたかったところだ」



 深く暗い声とともに、目の前に降り立つ漆黒の影。何が起きたのか、すぐには理解できなかった。

「……はァッ!!」

 裂帛の声。影が長大な剣を振り上げ、眼前に迫るロイヤリティの光に、その漆黒の刃を突き立てた。

 どこまでも清浄で、どこまでも苛烈なロイヤリティの光は、その漆黒の刃を前にふたつに分かたれた。ゴドーの両脇をかすめ、あまりにも呆気なくかき消えた。

「あんた……」

 ゴドーは、自分を守るようにプリキュアに立ちはだかる、その漆黒の背中に向け声をかける。

「ど、どうして……?」

「偶然私が通りかかって良かったな、ゴドー」

 彼は振り向きもせず、そう応じた。

「まぁおまえのことだ。私が助けるまでもなく、ロイヤリティの光などはじき返していただろうが、な」

「…………」

 彼の励ましとも嫌みともつかない言葉に、ゴドーはどうとも返せなかった。

「……ふん、つまらん」

 彼は見切りをつけるように言うと、再びプリキュアと対峙した。

「久しぶりだな、プリキュア」

 ――その名はゴーダーツ。深く闇の欲望に根ざした、アンリミテッドの戦士である。



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