【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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273:名無しNIPPER[saga]
2018/02/18(日) 19:08:28.24 ID:nI3CgSSH0

…………………………

 笑顔が笑顔を呼ぶ。お互いを見つめ合う伝説の戦士から笑みがこぼれる。世界はいまだ、アンリミテッドの暗闇に包まれている。それでも、キュアグリフとキュアユニコの周りだけは光り輝いていた。

 それは、ロイヤリティの光ではない。ゴドーにも美しいと思える光。

「それよ! 私は、その力を求めているの……ッ!」

 遠く、その力の意味を理解していないゴドーの声が響く。直後、身構える暇もなく、ウバイトールがふたりめがけ突っ込んでくる。

『ウバイトォォォオオオオオオオオオル!!』

「グリフ!」

「ユニコー!」

 ブレイとフレンの悲鳴に近い声が響く。それが聞こえても、グリフとユニコはなお笑う。

「大丈夫」

「ええ、大丈夫」

 瞬間、ふたりは同時にドン! と足をつける。小柄なふたりの戦士の足の動きが、それだけで大地を揺るがす。そして、ふたりは飛び込んできたウバイトールに向け、同時に拳を突き出した。

『ウバッ……!?』

 薄紅色と空色の光をまとったふたりの拳が、あまりにも呆気なくウバイトールを吹き飛ばした。

「なっ……」

 言葉を失うゴドー。そのゴドーのはるか頭上を超えて、ウバイトールが落下する。轟音に揺れる地面に、ゴドーはぺたりと座り込んだ。

「うそ……何よ、これ……」

 震えているのは大地か、それとも、己か。

 目の前の力を欲していたはずなのに、その力が恐ろしくてたまらない。

 眼前で、圧倒的な力を持って欲望の化身たるウバイトールを吹き飛ばした伝説の戦士が、恐ろしい。

 勝てない、と。悟ってしまったから。

 プリキュアたちのたった一撃で、己の欲望を果たすことなど到底できっこないと、分かってしまったから。

 だからゴドーは、力なく座り込むしかなかった。

 自が欲望を果たせぬ欲望の戦士は、脆い。



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