【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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270:名無しNIPPER[saga]
2018/02/18(日) 19:06:36.61 ID:nI3CgSSH0

…………………………

「ッ……」

 キュアグリフは他の何も考えられないくらい、ともえを傷つけられたことで動揺していた。

 それが怒りなのか、悲しみなのか、憎しみなのか、それすら分からないくらい、頭の中をともえが傷つけられた事実が駆け巡っていた。

「ふふっ、あんた何をそんなに怒ってるの?」

「分からない!? ゴドー、あなたはやっちゃいけないことをやったのよ!」

「分からないわね! ほら、ウバイトール!」

 ゴドーの挑発に乗って、再びウバイトールに吹き飛ばされる。普段の1/3も周りが見えていないようだった。まるで、ウバイトールのことを意識しても、次の瞬間には忘れてしまうようだった。

「ゴドーッ!」

「あ、ははは!! おもしろいわね! まるで電灯にたかる虫みたいよ、あなた! そういえば、あの伸びちゃった子、あんたの妹なのね? そういうところ、あんたにそっくりだわ!」

 再びカッと頭の中が熱くなる。ウバイトールが見えなくなる。

「ゴドー!!」

「馬っ鹿じゃないの! ウバイトール!」

 しまった、と思ったときには、ウバイトールの拳が目の前に迫っていた。

 今まですんでのところでガードしていた強烈な拳が、正面から叩きつけられた。ウバイトールは巨大だ。だからこそ、その打撃は本来、警戒を怠っていいものではない。

「か、は……っ」

 一瞬呼吸が止まった。身体全体に打撃が浸透するように、痛みが広がる。ウバイトールの拳に吹き飛ばされ、背中から欄干に叩きつけられたのだ。身体に力が入らない。ずるずると地面にくずれ落ちる。

「ふふっ、拍子抜けだわ。この前とは全然違うのね。弱くて笑っちゃうわ」

 ゴドーが嘲笑するように。

「あんたは弱いのよ! 結局、ひとりじゃなんにもできないんじゃない!」

 必死で立ち上がろうとするが、力が出ない。ダメージをおして、立ち上がれると思った。けれど、なぜだか立てなかった。ふと、思う。隣にもし、大切な相棒がいたら、自分は立ち上がれる。けれど、隣には誰もいない。当然だ。グリフが、隣に立つことを拒絶したのだから。

「っ……」

 何をやっているのだろう。ほんの少し前、同じような後悔をしたばかりだというのに、何も変わっていない。また、めぐみにひどいことを言ってしまった。

「もう立ち上がることもできないのね。残念。あんたたちの力、探るつもりだったけど、その手間も省けちゃったわ」

 ゴドーがくいと手を振る、低い音を響かせて、ウバイトールがグリフの目の前にやってくる。



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