【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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250:名無しNIPPER[saga]
2018/02/11(日) 18:23:09.27 ID:Vt5kauhK0

 ヒョコッと、申し訳なさそうな顔がドアのスキマから覗く。姉の友達だろう。

「王野さん? もし都合が悪いなら、申し訳ないから帰るけど……」

「そ、そんなことないよ! ないない!」

 姉は慌てた様子で友達らしき人に言う。ふと、その姉の友達がこちらを見る。透き通るような涼やかな目線に、ともえは一瞬たじろいでしまった。よくよく見てみれば、驚くくらい美人のお姉さんだ。とても子どもっぽい姉の同級生とは思えない。

「はじめまして。えーっと、ともえちゃんだよね。私はゆうきさんのクラスメイトの大埜めぐみです」

「……こんにちは」

 外面だけはよくしようと心がけているともえだが、今ばかりは愛想を振ることもできなかった。昼からの胸のむかつきが、なおいっそう大きくなったようだった。ともえは姉を睨み付けた。

「……二枚舌」

「そ、そんな風に言わなくたって」

「ずるい」

 不思議と姉を困らせようという意地の悪い感情はわいてこなかった。ただ怒っていた。

「私だって……今日は友達と家で遊びたかったのに」

「……ごめん。で、でもね――」

「言い訳なんて聞きたくない。いいよ、もう」

 家族とどこかに出かけることが少ない。

『夕凪町っていうところ。海がすっごくきれいだったよ』

 それどころか、お父さんとお母さんはいつも家を空けている。いるのは口うるさい姉と、自分に似ず素直で誰からも好かれる弟だけだ。



 ――――『ちょっ、ちょっとともえ!? あんた何やってるの!』



 胸のむかむかがまた大きくなる。それどろか、心なしか頭がくらくらする。気分がどんどん悪くなっていく。

「……もう、やだ」

 何もかもがいやになってきた。これといった嫌なことがあるわけではない。ただ、気分が悪い。自分自身の気持ち。姉に対する気持ち。両親に対する気持ち。色々な気持ちがぐちゃぐちゃになって、どう言葉に表したらいいのか分からない。だから、口をついて出たのは、そんな言葉だった。



「こんな家に生まれたくなかった」



 言ってしまってから、少しだけ、しまった、と思った。何を言っているんだろうとも思った。

 それが本心ではないことは明確だった。

 けれど、口に出してしまったことは取り返せない。それは間違いなく姉の耳に入っただろう。だから、そして。

「っ……」

 頬に軽い衝撃が走った。ともえはかすかに痛む頬を押さえて、目を見開いて目の前の姉を見た。姉も目を見開いていた。信じられないという顔をして、ともえと、今まさにともえの頬を張った自分の右手を交互に見つめていた。



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