【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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230:名無しNIPPER[saga]
2018/02/04(日) 10:20:00.30 ID:KQnxmm/50

…………………………

「う……うーん……」

 揺れる感覚。視界の端に光を感じ、はじめは目を開いた。

「……あれ? ここは……」

「良かった。気がついたのね」

「えっ……大埜さん?」

 自分を上からのぞき込む同級生の顔に、安堵の表情が浮かぶ。

「私は一体……」

「疲れていたんじゃないかしら? 私と王野さんが廊下を歩いていたら、あなたが倒れていたのよ」

「疲れ……?」

 ゆっくりと身を起こしながら考える。

(私……誰かと話していたような……)

「あの……大埜さん」

「何かしら?」

「ここに、黒ずくめの女の子がいなかったかい? 私たちと同い年くらいだけど、この学校の生徒じゃなさそうな子なんだが」

「……? そんな子見かけてないわ。ねえ、王野さん」

「えっ? あっ、う、うん。そんな子見てないなぁ〜」

 そうか。このふたりがそう言うのなら間違いないだろう。自分は夢を見ていたのだろうか。それとも、彼女はふたりが現れる前にどこかに消えてしまったのだろうか。

 どちらにせよ、だ。

「……もう少しだけ話を聞きたかったなぁ」

「えっ?」

「いや、なんでもない。ありがとう、大埜さん。王野さん」

「どういたしまして。保健室行く?」

「いや、体調が悪いわけではないよ。そろそろ授業が始まる。教室に戻ろう」

 まさか、生徒会長に立候補するふたりともが遅刻などというわけにもいかないだろう。

「アンリミテッド……の、ゴドーさんか……」

「「う゛ぇっ!?」」

「? どうかしたかい?」

 ふと思い出したのだ。記憶がとぎれる直前、彼女は自分にそう名乗っていたのだ。

「う、ううん。なんでもないわ……」

「うんうん! なんでもないなんでもない!」

 ゆうきとめぐみは慌てた様子だったけれど、その理由がはじめには分からない。

 ともあれ、だ。

「……おもしろいことを言う子だった。もう一度会ってみたいな」

 はじめはふと、窓の外に目を向ける。そこではやはり、木々の梢に小鳥が止まり、さえずっている。

 彼女もまた、今の自分のように小鳥を眺めていたのだ。

 本人にはきっと自覚はなかっただろうけれど、とても優しい目で。

「もう一度、会いたいな……」

 様々な想いをつないで、物語は進んでいく。

 その先にある未来へと。



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