【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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195:名無しNIPPER[saga sage]
2018/01/28(日) 10:19:28.49 ID:xIWFcIHZ0

 気がついた。まるで、甘い幻想を無理矢理に吹き飛ばすように、その重い一言がユニコの心を大きく揺さぶった。

 それは、相棒の、強く重い、言葉。

「……何だい? 臆病者さん?」

「わたしのことは好きなように呼んだらいい。けど、ひとつ訂正してもらうよ」

「何だって?」

 ダッシューは不真面目な笑みを崩さない。それに対し、ユニコの相棒である戦士は、ただ彼の顔を睨みつける。

「欲望と向き合う? 答えを出す? ……ははっ、馬鹿みたい」

 そう。キュアグリフは、どこまでもまっすぐ、一途に、真摯な言葉を紡ぐ。

「ほんと、馬鹿みたい。ほんっと……馬鹿みたい」

「……何が言いたいんだい、キュアグリフ」

「ユニコは欲望とか、そんなくだらないことで生徒会長のこと、悩んでるわけじゃないんだよ」

 それは、断言するような言葉。めぐみの心を貫く、まっすぐな言葉。

「ユニコはね、自分が生徒会長に相応しいのかとか、自分が立候補していいのかとか、他の誰かのことを考えて悩んでいるんだよ。そこに自分の欲とかそんなのはないよ。ユニコは、いつも誰かのことを考えてるんだ」

「馬鹿なことを。そんな人間、いるはずがないだろう」

「いるよ。わたしは知ってる。わたしが迷うとき、いつも優しく選択を促してくれるユニコのことを。わたしが怖がっているとき、いつも叱咤激励して支えてくれるユニコのことを。わたしが悩んで、プリキュアをやめようとしたときも、たったひとりでブレイとフレンを守ろうとがんばっていたユニコのことを。いっぱいいっぱい、たくさんのユニコを……優しくてカッコ良いキュアユニコという相棒を、わたしは知ってる」

「グリフ……」

 自分はそんな大それた人間ではない。優しくもない。カッコ良くなんてあるはずない。支えているなんて言って、本当はいつもいつも、自分が支えられているのに。なのに。

「……わたしは、そんなユニコを知ってる。だから、ユニコの立候補を、あなたなんかに左右させない! ブレイとフレンを守りたいって気持ちを、あなたなんかに潰させない! わたしは……ユニコの相棒、キュアグリフだから!」

 グリフの声に呼応するように、薄紅色の光が炸裂する。苛烈なる光はグリフの戒めを吹き飛ばす。

「なに……!?」

「ダッシュー!」

 グリフが跳躍する。ダッシューに向け蹴りを放つ。それをいなし、ダッシューがグリフと向かい合う。

「グリフ……」

 ユニコは、必死にダッシューと攻防を続けるグリフを見つめ、拳を握りしめた。



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