【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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191:名無しNIPPER[saga sage]
2018/01/28(日) 10:14:23.91 ID:xIWFcIHZ0

「その書類を返しなさい!」

 急いで階下へ向かい、校庭へ出る。未だ校庭に立ち尽くしていたダッシューに、めぐみが叫ぶ。

「返せ? ははっ、おもしろいな。アンリミテッドが一度でも奪った物を返すと思っているのかい?」

「それは大事なものなのよ! 早く返しなさい!」

「断る」

 めぐみの必死な顔に真面目に取り合う気すらないように、ダッシューは笑っている。どうでもよさそうに。ただ、必死な顔をするめぐみを見て、小馬鹿にするように笑っている。

「……どうして……」

「うん? 臆病者の君、何か言ったかい?」

 だから、声が洩れるなんて当たり前のことだ。言葉は、勝手に紡がれる。

「どうして……あなたたちはどうして! そんな風に何かを奪うことしか考えられないの!? 何かを必死になってやろうとしている人! 何かを必死で求めている人! そんな人たちから何かを奪って、笑って……どうしてそんなひどいことができるの!?」

「決まっているさ。僕らはアンリミテッドだからだ。それ以外の理由なんてないよ。僕らは、欲しい物を欲しいがままに手に入れるために、アンリミテッドになったのだから」

「そんなの、間違ってる! あなたたちは、絶対に間違ってる!」

 誉田先生のように、自分たち生徒のために親身になってくれる大人がいる。子どものために必死になってくれる大人がいる。それなのに、目の前の男は、そんな大人とは正反対の、まるで大きな子どものようなことを言っているのだ。

「御託はいい。返してほしいのなら、力づくで奪い返してみなよ。君たちにはその力があるだろう?」

「……私は……」

 めぐみが口を開いた。

「私は、まだ生徒会長に立候補するかどうかも分からない。もしかしたら、しないかもしれない。けど……」

 腕を差し出す。そこに煌めくは、空色のロイヤルブレス。ロイヤリティの王家に伝わる、伝説を呼び起こす鍵。

「……あなたに書類を奪われたから立候補しないなんて、そんな逃げるような理由にはしたくない! 私は、私の気持ちで、想いで、立候補するかどうかを決めるわ! ……王野さん、行くわよ」

「うん!」

 世界が暗闇に包まれる。急速に世界が変質していく様子を身体中で感じながら、ゆうきもまためぐみの隣で腕を差し出す。きらめく薄紅色のロイヤルブレスが、すべてを物語っているようだった。

 たとえどんなに強大な闇の欲望だって、この光の希望を消すことはできないのだ。



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