【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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187:名無しNIPPER[saga sage]
2018/01/28(日) 10:10:49.99 ID:xIWFcIHZ0

…………………………

「あ、いや、その……」

 反射的に弁明の言葉を紡ごうとして、ゆうきはふと思う。少なくとも、自分には誉田先生に言わなければならないことがあるだろう。言って、伝えななければならないことがあるだろう。

「……誉田先生、話があります」

「? 何かしら?」

「……まず、盗み聞きをしていたことを謝ります。今の話、聞いていました。ごめんなさい」

 ゆうきはまっすぐ、誉田先生の目を見据えて。

「でも、さっきのこと、ひどいと思います」

「そう……。聞いてたのね、あなた」

 誉田先生は押し黙って、困ったような顔をした。ゆうきにだって分かっている。ひどいことを言ったのは皆井先生で、しかも皆井先生はしっかりとその言葉を訂正している。誉田先生にこんなことを言うのは、筋違いだって分かっている。

 それでも、大切な友達のために、ゆうきは言わなければならなかった。

「わたしだけじゃありません。大埜さんも聞いてました。きっと、ショックを受けてました」

「…………」

「当て馬って言ってたことを皆井先生が訂正してたこと、それはしっかりとわたしが伝えておきます。でも、それだけじゃないです。大埜さんは、自分以外に立候補したひとがいるなんて知らなかった。誉田先生が言わなかったからです。だから、きっと誰も立候補してないから、自分が立候補するよう言われたんだって、そう思ってました。だから、きっと余計ショックだったんだと思います」

「……そうね。私の落ち度だわ。その点に関して、しっかりと大埜さんに謝ることにするわ」

 誉田先生は、誠実でしっかりとした先生だ。だから、生徒であるゆうきの、聞きようによっては生意気とも思える言葉を真っ向から真摯に受け止め、まっすぐゆうきの目を見つめながら、そう答えることができたのだろう。

「教えてください。立候補したひとがいるなら、どうして大埜さんに立候補してほしいなんて言ったんですか? 信任投票だと、伝統あるダイアナ学園の生徒会選挙がつまらなくなるから? 伝統を崩すから? そんな理由で、大埜さんに立候補するように勧めたんですか? そんな、大人だけにしか分からないような、勝手な理由で、大埜さんを傷つけたんですか?」

「…………」

 誉田先生は、決して生徒から逃げたりしない。まっすぐ目を見つめたまま、しっかりと向き合ってくれる。だから、ゆうきも安心して、自分の言葉を誉田先生にぶつけることができるのだ。

「……いいえ。違うわ。少なくとも私は、伝統とか、つまらないとか、そういう理由で大埜さんに生徒会長への立候補を勧めたつもりはないわ。そして、誤解はあるでしょうけど、きっと皆井先生たち、他の先生も違うと思うわ」

 だから、誉田先生から否定の言葉が出て、ゆうきは心の底から安心していた。

「私は、大埜さんのためになると思ったから、生徒会長になるように勧めたの。きっと、大埜さんが生徒会長選挙を通して、大きく成長してくれると思ったから」

「大埜さんの成長……?」

「ええ。大埜さんって、勉強もできるし運動も大得意でしょう? でも、人付き合いは少し苦手みたいじゃない? けど、私はあの子の本当を知ってるから。あの子は本当に楽しそうに笑って、誰かのために泣いて、誰かのために怒れる優しい女の子だって、知ってるから。だから私は、大埜さんにそんな “本当” をもっともっと出してほしいの」



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