【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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186:名無しNIPPER[saga sage]
2018/01/28(日) 10:09:55.17 ID:xIWFcIHZ0

…………………………

「めぐみ! めぐみ!」

「…………」

 鞄の中から呼びかける声。昇降口で上履きをはきかえようとしていたところだった。周囲に人影はない。めぐみはそっと、鞄の中からフレンを抱え上げた。

「どうかした?」

「分かってるニコ? フレンが何を言いたいか」

「……分からないわ」

 フレンは大きな瞳でまっすぐに見つめてきた。それがあまりにもまぶしくて、めぐみは思わず目をそらしてしまう。

「うそニコ。でも、まあいいニコ。めぐみ、今すぐ戻って、先生たちとしっかり話をするニコ」

「…………」

 無理よ、と言うだけの勇気すらなかった。自分でも驚いてしまう。

 ああ、そうか。

 大埜めぐみという己は、こんなにも弱かったのか、と。

「……フレンは、めぐみの優しさを知っているニコ」

「……?」

「めぐみは優しくて、とても素敵な女の子ニコ。先生がめぐみに生徒会長に立候補してほしいって言ったのは、きっとそんなめぐみの素敵なところを知っているからニコ」

「…………」

「めぐみがしっかり者で優しい素敵な生徒だって知ってるから、生徒の規範になる生徒会長に立候補するべきだって、生徒会長になるべきだって、そう思ったから、先生はめぐみに立候補を勧めたニコ」

「そんなの――」

「絶対そうニコ」

 ――分からないわ、という言葉を続けることはできなかった。どこまでも純粋でひたむきなフレンの声が、その否定的な言葉をかき消してしまったからだ。

「絶対、そうニコ」

 フレンは優しい目をしてそう言い切った。

「……ここで逃げたら、きっと明日はもっと辛くなるわね」

 めぐみは、そんなフレンの言葉を聞いて、思わされてしまったのだ。

「それに、具合が悪いなんて嘘をついて、学級委員の仕事をズル休みするなんて、私がやることじゃないわ」

「ニコ! その通りニコ! それでこそフレンの友達で従者、めぐみニコ!」

「はいはい。でも、従者ってところは余計よ、フレン」

 さあ、行こう。

 きっと心配している、優しい友達のところへ。



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