【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga sage]
2018/01/28(日) 10:09:55.17 ID:xIWFcIHZ0
…………………………
「めぐみ! めぐみ!」
「…………」
鞄の中から呼びかける声。昇降口で上履きをはきかえようとしていたところだった。周囲に人影はない。めぐみはそっと、鞄の中からフレンを抱え上げた。
「どうかした?」
「分かってるニコ? フレンが何を言いたいか」
「……分からないわ」
フレンは大きな瞳でまっすぐに見つめてきた。それがあまりにもまぶしくて、めぐみは思わず目をそらしてしまう。
「うそニコ。でも、まあいいニコ。めぐみ、今すぐ戻って、先生たちとしっかり話をするニコ」
「…………」
無理よ、と言うだけの勇気すらなかった。自分でも驚いてしまう。
ああ、そうか。
大埜めぐみという己は、こんなにも弱かったのか、と。
「……フレンは、めぐみの優しさを知っているニコ」
「……?」
「めぐみは優しくて、とても素敵な女の子ニコ。先生がめぐみに生徒会長に立候補してほしいって言ったのは、きっとそんなめぐみの素敵なところを知っているからニコ」
「…………」
「めぐみがしっかり者で優しい素敵な生徒だって知ってるから、生徒の規範になる生徒会長に立候補するべきだって、生徒会長になるべきだって、そう思ったから、先生はめぐみに立候補を勧めたニコ」
「そんなの――」
「絶対そうニコ」
――分からないわ、という言葉を続けることはできなかった。どこまでも純粋でひたむきなフレンの声が、その否定的な言葉をかき消してしまったからだ。
「絶対、そうニコ」
フレンは優しい目をしてそう言い切った。
「……ここで逃げたら、きっと明日はもっと辛くなるわね」
めぐみは、そんなフレンの言葉を聞いて、思わされてしまったのだ。
「それに、具合が悪いなんて嘘をついて、学級委員の仕事をズル休みするなんて、私がやることじゃないわ」
「ニコ! その通りニコ! それでこそフレンの友達で従者、めぐみニコ!」
「はいはい。でも、従者ってところは余計よ、フレン」
さあ、行こう。
きっと心配している、優しい友達のところへ。
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