【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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185:名無しNIPPER[saga sage]
2018/01/28(日) 10:09:14.44 ID:xIWFcIHZ0

「馬鹿みたい。勝手に勘違いして勝手にはしゃいじゃって。ほんと、馬鹿みたいね、私。ふふ……当て馬だってね」

「大埜さん!」

「……ごめんなさい、王野さん。私、ちょっと気分が悪くなっちゃった。帰るわね。学級委員の後片付け、出られないわ。先生に伝えておいてちょうだい」

「大埜さん。ちがうよ、きっと、何かの間違いだよ」

「……ありがとう。ごめんなさい」

 めぐみはゆうきに背を向け、足早に廊下を行ってしまった。ゆうきは不器用で、ドジで、だからその背中にかける言葉を持たなかった。声をかけたら、余計に傷つけてしまいそうで、自分がめぐみを傷つけてしまうことが怖くて、だからゆうきは口から出かけた言葉も、喉元まで来ていた言葉も、全部まとめて飲み込んだ。

 自分の臆病さを、呪いながら。そして、無神経な話をしていた先生ふたりに少しだけ怒りを覚えながら。



「皆井先生、訂正してください」



 けれど、ゆうきが一歩前に進む前に、そんなキリリと引き締まった声が響いた。

「誉田先生……?」

「私は、そんなつもりで大埜さんに立候補を勧めたつもりはありません。当て馬なんてそんな言い方、大埜さんに失礼です」

 普段から優しく、いつも先生とも生徒とも朗らかに話している姿しか見たことがない、そんな誉田先生が、目をつり上げていた。鈍いゆうきにだって分かる。誉田先生は、皆井先生に対して、少なからず怒っているのだ。

「あ、いや、これは失礼しました。たしかに、おっしゃるとおりです。訂正しましょう」

「……ええ」

 皆井先生も、決して嫌な先生というわけではないのだ。誉田先生の言葉にハッとし、その雰囲気にたじろぎながらもしっかりと訂正した。きっと、本人にも悪気はなかったのだろう。誉田先生もそれを分かっているから、すぐにいつもの笑顔になって、その言葉を受け入れたのだ。

「何にせよ、生徒会長の立候補が騎馬はじめだけの信任投票というのも問題ですからな。大埜めぐみには、ぜひ立候補してもらいたいものです」

「そうですね。でも、私はきっと、大埜さんなら引き受けてくれると信じています」

「楽しみです。それでは、よろしくお願いしますよ、誉田先生」

「はい」

 皆井先生がこちらに向かって歩いてくる。ゆうきは息を押し殺して、物陰で身体を縮こまらせた。幸いにして皆井先生はそのまま足早にゆうきの横を通って、行ってしまった。

「……ほっ」

「あら? そんなところでどうしたの、王野さん?」

「わひゃあっ!」

 すぐ横に、誉田先生が不思議そうな顔をして立っていた。



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