【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga sage]
2018/01/28(日) 10:08:43.63 ID:xIWFcIHZ0
廊下の奥からそんな男性の声が聞こえた。目を向けてみれば、誉田先生と、隣のクラスの皆井先生が話し込んでいる。
「……私の名前?」
めぐみが訝しげに言う。たしかに、皆井先生がめぐみの名前を出していた。本人は気になるだろう。ゆうきとめぐみは顔を見合わせ、少しの逡巡の後、こっそりと物陰に隠れた。盗み聞きはいけないことだが、気になったのだから少しくらい仕方ない。
「まだ分かりません。でも、大埜さんならきっと、やってくれると思いますよ」
「そうですか。そうだといいですなあ。さすがに、生徒会長が信任投票ではつまらないですからな。伝統あるダイアナ学園生徒会の選挙は、やはりしっかりとふたり以上の候補が争わなければ」
誉田先生の言葉に、皆井先生が笑いながら答える。若い男の先生で、ゆうきの個人的な見解としては、結構イケてるクチだと思う。ニヒルな笑顔が似合う、まぁまぁのイケメンだ。
「あの騎馬はじめが立候補するということで、少しでも立候補の意欲を見せていた生徒たちが、皆辞退してしまいました。これは由々しきことです。このままでは、生徒会長選挙が、信任投票という形になってしまいますからな」
「信任投票……?」
「どうかしたの、大埜さん?」
めぐみの呟きに問いかけると、神妙な顔で答えてくれた。
「信任投票っていうのは、たとえば生徒会長に立候補したひとが一人だけだった場合に、対立する候補がいないから、その候補を生徒会長にするかしないかを投票で決めるっていうことよ」
「えっ? じゃあ、それってもしかして……」
つまり、それが意味することは――
「――当て馬くらいでもいい。あの騎馬はじめに少しでも釣り合うような生徒を対立候補に立てないといけませんから。その点、大埜めぐみは適任ですね」
「……!」
ゆうきには、あまり難しいことは分からない。
けれど、ひとつ分かったことがある。
皆井先生の言葉が、少なからずめぐみを貶めていて、その言葉を聞いて、めぐみが傷ついたということだ。
「大埜さん……」
「……なるほど、ね」
めぐみは、先までの照れ隠しの顔とは正反対の、口角をつり上げるような笑みだった。ゆうきにも分かる。自分を笑っているのだ。
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