【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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179:名無しNIPPER[saga sage]
2018/01/28(日) 10:04:15.36 ID:xIWFcIHZ0

…………………………

 そこは、闇と欲望が渦巻く、黒い場所。

「…………」

 目を閉じ、神経を研ぎ澄ます。胸の内に秘める欲望を、己の意志ひとつで制御する。渦巻く憎しみの炎をも、己の力に変換する。

 己の目的を達成するために。

 己の欲望を満たすために。

 重い剣を横に滑らせ、そして――、



「――近寄るな。斬られたいのか?」



 己の言葉に、闇の中で何かが動く。光はあるが、すべてが黒いために何も照り返さない。そんな闇の中から、同僚である男が現れた。

「やあ、よく分かったね。足音はさせていないつもりだったんだけど」

 細面の顔に貼り付けられた、薄ら寒い笑顔。何もかもをあきらめたような顔をしているくせに、細い目の奥の瞳には、恐ろしいほど貪欲な欲望を抱いている。同胞とはいえ、油断のならない相手である。

「あまり私を舐めるな、ダッシュー」

「はは、そう嫌わないでくれよ。悲しいじゃないか、ゴーダーツ」

 ゴーダーツは剣を鞘へと納め、ダッシューへに向き直った。

「何の用だ?」

「いや、デザイア様が見当たらなくてね。それで君に聞きに来たんだ。知らないかい?」

「……なるほどな」

 ゴーダーツは首を振った。

「知らんな。そもそもあの方は、あまりご自分の行動を我々に知られたくないのではないか?」

「そうだねぇ。仮面といい、秘密主義だよね、デザイア様は」

 その言葉には、少なからず気に入らないという意志が見え隠れしていた。

「文句でもあるのか?」

「はは。君は忠誠心が強いねえ。そんな顔をしなくても、僕もまた君と同じ、デザイア様の忠実な下僕だよ」

 その言葉にはひとかけらの誠意も感じられなかった。このダッシューという男は、何につけても真剣になるということを知らないのだ。

「……ともあれ、デザイア様はどちらへ行かれたのかねぇ」

「知らん。言いたいことがそれだけなら、去れ。私は剣の稽古を続けなければならん」

「はいはい。マジメだねえ、ゴーダーツは」

 ダッシューはくるりと背を向けると、歩き出した。

「……さて、じゃあ、僕がもう一度プリキュアのところへ行っても、咎めるひとはいないっていうわけだ」

 そのつぶやきは、ゴーダーツに届いてはいなかった。



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