【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga sage]
2018/01/28(日) 10:02:57.63 ID:xIWFcIHZ0
大歓声の中、一度閉じた幕が上がる。一年生を初めとして、体育館の後ろの方で立ち見をしていた多くの二、三年生からも大きな拍手が巻き起こる。その拍手の向かう先、舞台の上では、“彼女” と “彼” を中心とした演劇部員たちが手を繋ぎ、観客に頭を下げている。
新入生歓迎会当日。みんなで力を合わせて準備をした会場で、様々な部活が発表をしている真っ最中だった。今まさに、演劇部の演劇発表が終わったところだった。
『皆さん、ご観覧ありがとうございました!』
やがて、マイクを持った “彼女” ことユキナが朗らかに礼を述べ、
『一年生の皆さん、もしもいまの演劇で、少しでも演劇部に興味を持ってくれたなら、ぜひ一度、演劇部に見学に来てください』
ユキナからマイクを引き継いだ “彼” こと有紗が、静かに、ゆったりと部の宣伝をする。
「ふはぁ……」
そんなふたりの様子を、演劇の最初から最後まで、そしていまの挨拶までもを見て、思わずため息が出てしまう。
「すごいなぁ、あのふたりは」
「……あれは、さすがに驚いたわ。本当にすごいのね、更科さんと栗原さん」
現演劇部三年生は演技をする生徒よりも舞台裏を専門としている生徒の方が多いらしいのだが、それでもユキナと有紗は二年生の春から、すでに主役やヒロインに抜擢されているのだ。それは本当にとてつもないことなのではないかと思う。それに、事実、ゆうきとめぐみは心の底からふたりに魅せられてしまったのだ。演劇をしていたふたりは、もうすでにいつものふたりではなかった。まるでゆうきとめぐみがプリキュアに変身するかのごとく、ユキナと有紗は普段とはまったく別の誰かになりきっていたのだ。
「ニコ……」
耳元で鼻をすする音。見れば、めぐみの肩にちょこんと乗っかっているフレンが、目にいっぱい涙を溜めていた。
「……良かったニコ。最後、ふたりが一緒に旅に出られて、よかったニコ……」
意外と乙女な王女だった。
「……あはは、そういえば、ブレイはどうだった?」
「グリィいいいいいいいいい!!!」
聞くまでもなく、ゆうきの肩の上で号泣していた。
「……ま、この熱気と暗さなら誰も気づかないよね。みんな舞台にすっかり魅せられちゃってるし」
目をやれば、演劇部の面々が舞台上で再び頭を下げているところだった。顔を上げたユキナと有紗の顔にはやりきったような満足感がうかがえて、ゆうきまで嬉しくなるような気持ちだった。
「……あ、いたいた。大埜さん」
「グリ!」 「ニコ!」
突然の声に驚き固まるブレイとフレン。そんなふたりを慌てて鞄の中に押し込み、ゆうきとめぐみは後ろを振り返った。
「誉田先生?」
背後には、優しい顔をしたクラス担任、誉田先生が立っていた。クラスメイト満場一致で美人と噂される誉田先生は、安心するようにホッと息をついた。
「ああ、ここにいてくれて良かったわ、大埜さん。少し話があるのだけど、いいかしら?」
「?」
ふたりして顔を見合わせ、首をかしげる。
誉田先生の話とは、一体なんだろう?
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