【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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166:名無しNIPPER[saga]
2018/01/21(日) 11:13:49.86 ID:agWmrLpM0

「何かを成し遂げるために必要なのは、希望じゃない。欲望だ。さっきの舞台に立っていた彼女たちもそうさ。何かを成し遂げたいと思う強い欲望。そのためならいくらでも時間を使い、舞台を占拠し、練習をしていていいと思っているのだからね。人間なんてそんなものだよ。そしてそれが正しいんだ。欲望のおもむくままに自分勝手に行動し、己の欲望を満たす。それこそが人間の正しい有り様だ」

 ダッシューは笑ったまま続ける。

「そしてそれを僕らに教えてくれたのは、君たちロイヤリティの王族だろう? ねぇ? 勇気の王子、優しさの王女?」

「ニコ……あんたたちは、一体……一体、フレンたちに何の恨みがあるニコ!!」

「……だから、言わないよ。それは僕の欲望ではないからね」

 ダッシューがブレイとフレンに向け、はさみを構える。そして、そのはさみをふたりに向けて投げた。

「グリ!?」

「さようなら、ふたりの王族」

 その凶刃が真っ直ぐ、小さな王子と王女に向かい、そして、すべてが終わるはずだった。

「――なっ……!?」

 しかし、横合いから飛び込んだ影が、いとも容易くそのはさみを吹き飛ばす。

「……ふざけないでよ」

 それは、薄紅色の光をまとった小さな戦士。誰よりも勇敢で誰よりも強靱な、薄紅色のプリキュア。

「ふざけないでよ!!」

「っ……」

 その気迫に、ダッシューがたじろぐように一歩下がる。

「あなたに何が分かるの? ユキナと有紗は、誰にも迷惑なんてかけてない。決められた時間で、決められた場所で、決められた通り、誰にも迷惑をかけないように練習をしてるの。それは、自分たちの希望を叶えるため。たくさんの人の前で、素晴らしい演劇がしたいていう、自分たちの希望を叶えるためのことなんだよ!」

 グリフは引き下がらない。ぼろぼろになりながらも、立ち上がる。そして、大事な友達を守り、大切な友達のために言葉を紡ぐ。

「わたしは知ってる。ユキナと有紗がどれだけがんばってるか。どれだけ必死か。一年生の頃から、ずっと見てきたから。だから……」

 だからグリフは、大切な友達のために、怒る。


「それを、あなたたちの自分勝手な欲望と一緒にしないで!!」


「ぐっ……。な、なんだ、この気迫は……!」

 ダッシューはたじろぎがらも、腕を振るい虚空からのこぎりを取り出だす。



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