【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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163:名無しNIPPER[saga]
2018/01/21(日) 11:10:06.87 ID:agWmrLpM0

 心の奥底からゾッとした。妖しくきらめくのこぎりの凶刃にではない。なんでもないような笑顔で、人に刃物を振るうことができるダッシューの存在に、だ。

「あなた……あなた、何を考えてるの!?」

「何を考えてるかって? 決まってるさ」 ダッシューはのこぎりを肩に担ぎ、言った。「自分の欲望を満たすこと。ただそれだけを考えている。それがアンリミテッドの戦士である僕の役目でもあるからね」

 あくまで笑顔で。あくまで当たり前のように。ダッシューは何でもないことのように言ってのけた。

「……ねえ、あなたは他の人のこととか、考えられないの?」

「他の人? 関係ないじゃないか。一番大事なことは、自分のことだろう?」

「…………」

 怖い。たまらなく怖い。当たり前のように、当然のことのように、自分のためならば誰をどう傷つけても構わないと思っている人間が、目の前にいる。その事実が、たまらなく怖い。

「――グリフ!」

「……!」

 頭の芯まで響くような声。それは、相棒であるユニコの声だ。

「忘れないで! あなたは、そんな相手を叱りつけるって決めたんでしょう!」

 そうだ。瞬間的にグリフの脳裏に浮かぶ、自分自身の決意。

 アンリミテッドを倒すわけではない。アンリミテッドを改心させるために戦うという、決意を。

「……そうだ。わたしは、だから、戦うって決めたんだ」

 怖さなんてどこかへ吹き飛んでしまったようだった。グリフはユニコと目を合わせ、微笑み合う。

「……はは。お互いを想い合う戦士たち、か。これがロイヤリティの伝説ということか。けど、邪魔だ」

 ダッシューは笑顔のまま、指をぱちっと鳴らした。その瞬間、壁際で揺らめいていたウバイトールが猛スピードでユニコの方へ突撃を始めた。

「っ……!」

「ユニコ!」

「こっちは私に任せて! グリフは、その男を!」

 ユニコとウバイトールが交錯する。グリフはユニコを信じ、ダッシューへと目を向けた。

「さて、行くよ? キュアグリフ」

 ダッシューが言葉と同時にのこぎりを振り上げ、迫る。グリフはのこぎりを警戒しながら、それを迎え撃つ。



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