【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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158:名無しNIPPER[saga]
2018/01/21(日) 11:01:25.21 ID:agWmrLpM0

 大丈夫。前を向ける。戦う前の、自分だけの戦い。王野ゆうきとしての譲れない一線を、守らなければ。

「ダッシュー」

「なにかな?」

 薄ら寒い笑みも、もう怖くない。まだやり直せると、ゆうきは信じているから。

「……そのエスカッシャンを、返して」

「…………」

「返して。それは、ロイヤリティのものだよ」

 ダッシューは笑みを浮かべたまま、品定めをするかのようにゆうきを眺めた。視線を不快に思いながらも、ゆうきは一秒たりともダッシューから視線を逸らすような愚行は犯さなかった。

「……はは」 やがて、ダッシューは小さく声を出して笑った。「なるほどね。これは厄介だ。デザイア様がわざわざ僕に警戒を促す理由も分かるというものだ。君のような人間と、僕らアンリミテッドは、絶対に相容れない」

「な……なんですって?」

「分からなくていいさ。僕も、わざわざ説明をする気はない。答えを返そう。僕はこれを君に返す義務を負わない。だから、返さない」

 ダッシューの軽薄な口調が、そのときばかりは何かを胸に秘めるかのように、強い口調へと変わっていた。

「どうして? それは、ロイヤリティのものでしょ? それを無理矢理奪ったあなたに、そんなことが言えるはずない!」

「そうだね。けれど、これはロイヤリティのものであり、情熱の国のものであり、情熱の王女のものだ。君たちに渡してしまっては、情熱の王女に申し訳がないじゃないか」

「ニコ!! そんなこと少しも思っていないくせに、よくもヌケヌケとそんなことが言えるニコ!!」

「おっと、これは怖いな。けれど、言わせてもらえるなら、優しさの王女? 僕はあなたのような人間が一番信用ならないと思いますが?」

「ニコ!?」

 ダッシューの笑みを含んだ視線が、フレンを向く。

「……ねえ、優しさの王女? あなたは情熱のエスカッシャンを手に入れたら、それを自分のものにしてしまうのではありませんか?」

「に、ニコ!? そんなことしないニコ!!」

「ちょっと待ちなさい! あなた一体何を言っているの!?」

 ダッシューの言葉に、めぐみが大声を上げた。大切な友達が小馬鹿にされっぱなしなのだ。それをずっと耐えていられるほど、めぐみは “優しくなく” ない。

「フレンは仲間のエスカッシャンを自分のものにしたりしないわ! フレンとブレイは、ロイヤリティの王族すべてが手を取り合う未来を望んでいるのよ!」

「……へぇ。どうだかね。残念ながら、僕は王族のそんな言葉を鵜呑みにしていとは、とても思えないけど」



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