【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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125:名無しNIPPER[saga]
2018/01/14(日) 17:20:59.52 ID:eQRkBpc+0

「あら。私はお節介なゆうきも好きよ。でも、家のことばかりにかまけて、自分のことをおろそかにしてほしくはないの」

「えっ……?」

 だから、お母さんは憎めない。ずるい、と思う。唐突な笑顔、唐突な言葉、口調だって変わっている。お母さんは優しく、お母さんらしく笑って、ゆうきの手を優しく握ってくれたのだ。

「あなたはまじめでがんばり屋さんだもの。だから私もお父さんも、あなたにお家を任せてお仕事ができるのよ。でも、そのせいであなたに苦労をかけっぱなしだから、それが少し心苦しいの」

「そ、そんなの、大丈夫だよ。だって、お父さんもお母さんも、わたしたちのために働いてくれてるんだから」

「……うん。ありがとう、ゆうき」

 お母さんは小さく笑って、ゆうきの手に両手を添えた。

「お母さんはね、最近のゆうきの話を聞いていてとても嬉しいのよ。学級委員になって忙しいとか、新しいお友達がたくさんできたとか、ゆうきの、ゆうき自身のお話を聞くのが、私にとって何より嬉しいことなの」

「……よくわかんない」

「そうね。きっと今のゆうきにはわからないわ。けど、私はゆうきが変わっていってくれることが嬉しいの。……あんまり、お母さんらしいこと、してあげられていないけど、私はあなたのお母さんだから」

 お母さんの寂しげな表情の意味は、ゆうきにはよくわからない。ゆうきのお母さんはお母さん以外ありえない。少し普通のお母さんとは違うかもしれなけれど、お母さんをお母さんらしくないなんて思ったことは一度もない。

「……あのさ、お母さん」

「うん?」

「たとえばの話なんだけど……」

 ゆうきは言葉を紡ぐのは得意ではない。ただでさえドジな自分が、きちんと伝えたいことを伝えられるか、不安だった。

「大切な友達がいて、その友達が何かに悩んでいて、その悩みを教えてほしいって思うのは、お節介なのかな?」

「…………」

 お母さんは微笑んだまま、小さくうなずいた。

「……やっぱり」

「でもね、たとえお節介であったとしても、私だったら聞くわ」

「えっ?」

「もし、お母さんがゆうきの立場で、そのお友達というのがゆうきだったとしたら、私はゆうきにお節介と思われても、たとえ嫌われても、その悩みを教えてもらいたいと思うわ」

 ゆうきの目をまっすぐに見据えながら、お母さんは続けた。

「だって、私にとって、ゆうきはとっても大切な娘だから。そのお友達は、ゆうきにとってとても大切なお友達なんじゃないの?」

「…………」

 お母さんの言葉は簡潔で、言葉の意味がすんなりと頭の中に入ってきた。お節介と思われてしまうかもしれない。場合によっては嫌われるかもしれない。それでも、お母さんはゆうきのためになると思うことをしてくれると、そう言っているのだ。

「……ありがとう、お母さん」 だからゆうきは、笑うことができた。「うん。私、聞いてみる。もしかしたらお節介って思われちゃうかもしれないけど……それでも、友達のためにできることをしたいから」

「ええ。それでこそ、私の娘だわ」

 お母さんはそう言って、にっこりと笑った。



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